日本消化器内視鏡学会甲信越支部

21. 腎細胞癌胆嚢転移の1例

佐久総合病院 内科
新井陽 、比佐岳史、古武昌幸、高松正人子
同 外科
大久保浩毅
同 胃腸科
堀田欣一、友利彰寿、宮田佳典、小山恒男

 症例は70歳台、男性。1997年腎細胞癌にて右腎臓摘出術が行われた。2004年造影CTにて胆嚢体部肝床側に早期相で濃染される径10mm大の隆起性病変が認められた。US・EUSでは比較的太い茎を有する低エコー隆起として描出され、表面は高エコー層で覆われていた。なお、胆嚢壁の外側高エコー層は保持されていた。胆嚢造影では胆嚢体部に不整な透亮像を認めた。胆嚢動脈造影では腫瘍濃染像を認めたが、encasementは認められなかった。以上より早期胆嚢癌を考慮し、2005年開腹下胆嚢摘出術を施行した。病理組織学的には小型の異型核及び淡明な胞体を有する腫瘍細胞が柵状に配列し、前回手術時の腎細胞癌の組織像と同一であるため、腎細胞癌の胆嚢転移と診断した。術後11ヶ月経過後も無再発生存中であり、他臓器への転移は認められていない。腎細胞癌の胆嚢転移の報告は稀であり報告する。