日本消化器内視鏡学会甲信越支部

20. EUS-FNAが診断に有用であったTS1膵癌の1例目

長野市民病院 消化器科
越知泰英、長谷部修、立岩伸之、児玉 亮、丸山雅史、今井康晴、長田敦夫
長野市民病院 消化器科
関 仁誌、宗像康博
同 病理
保坂典子

 79歳女性,飲酒歴なし。2004年9月に背部痛にて他院を受診し,膵頭体移行部に腫瘤を指摘されたが炎症性病変として経過観察された. 2005年12月に前医を受診し,同様に腫瘤を指摘されて当科に紹介された. 無症状で腫瘍マーカーは正常だった.USでは径20mm大の低エコー腫瘤で,CTAでは動脈相で造影不良,遅延相で造影効果を認めた.ERPでは限局性の主膵管狭窄と尾側の拡張を,EUSでは石灰化とduct penetrating sign を認めた.経乳頭的生検・細胞診が不成功であったため,2006年1月10日,インフォームドコンセントの上でEUS-FNAを施行した.結果は classで膵癌と診断,2月13日に膵頭十二指腸切除術を施行した.組織学的にはpTS1(15×14mm) pT3(S+,RP+), N0, M0, stageであった .本例のごとき鑑別困難例においてEUS-FNAは有用性が高いと考えられた.