日本消化器内視鏡学会甲信越支部

19 ダブルバルーン内視鏡にて十二指腸穿孔をきたしたBillroth II法 切除胃に発症した十二指腸下行部癌の1例

長野赤十字病院 消化器科
松田至晃、原 悦雄、伊藤哲也、倉石 章、森 宏光、和田秀一
同 外科
富永義明、西尾秋人、町田泰一、中田伸司、袖山治嗣

 症例は60歳男性。25歳時に十二指腸潰瘍にて幽門側胃切除術、平成16年に多発早期胃癌でEMRの既往がある。平成17年7月初旬に発熱と肝機能障害で当科を紹介され、USで胆道拡張所見を認めたため13日入院。CTにて十二指腸下行部の腫瘍が疑われERCPを試みたが輸入脚が長く到達不能であった。22日ダブルバルーン型小腸スコープ(EN-450T5)による小腸内視鏡検査を施行。容易に下行脚に到達し、同部の左壁を中心とした約3/4周の2型腫瘍を確認したが、検査中より強い腹痛が出現し、抜去時に水平脚に径8mmほどの楕円形の穿孔部を確認した。高度の後腹膜気腫と皮下気腫も認められたため同日緊急手術。十二指腸水平部の小穿孔の単純閉鎖および洗浄ドレナージ手術を施行し、その後8月16日に膵頭十二指腸切除術を施行した。穿孔発生部位および挿入時に穿孔を認識できなかったことからオーバーチューブのバルーン拡張部位での穿孔と考えられた。