日本消化器内視鏡学会甲信越支部

17. 十二指腸原発腸管症性T細胞リンパ腫の1例

信州大学 消化器内科
白川晴章、横沢秀一
同 内視鏡診療部
赤松泰次、新倉則和、清澤研道
信州大学 消化器内科/内視鏡診療部
金子靖典、井上勝朗、北原 桂、須澤兼一、尾崎弥生

 症例は56歳の男性。本年2月に嘔気、浮遊感を自覚し、当院救急部を受診した。吐下血と著明な貧血を認め上部消化管内視鏡検査を行ったところ、十二指腸下行部のVater乳頭対側に2/3周にわたる潰瘍性病変を認めた。同部より採取した生検組織標本でT細胞性悪性リンパ腫と診断され、精査加療のため当科へ転科した。表在リンパ節は触知せず、右上腹部に軽度の圧痛を認めた。腹部CTにて十二指腸下行部の壁肥厚と周囲リンパ節の腫大がみられ、FDG-PETでは十二指腸下行部と傍大動脈リンパ節に集積を認めた。大腸内視鏡検査や骨髄検査ではリンパ腫の浸潤はなく、stage2の十二指腸腸管症性T細胞悪性リンパ腫と診断した。現在化学療法を施行中である。