日本消化器内視鏡学会甲信越支部

16. 早期胃癌、大腸癌を合併した十二指腸下行脚カルチノイドの1例

長岡赤十字病院 消化器科
岩崎友洋、佐藤明人、山田聡志、坪井康紀、三浦 努、柳 雅彦、高橋 達
同 外科
皆川昌広、草間昭夫、田島健三

 早期胃癌・早期大腸癌を合併した十二指腸下行脚カルチノイドの1例を経験した。症例は70歳男性。近医で胃隆起性病変を指摘され精査目的に当科を紹介受診。GIFで十二指腸下行脚カルチノイドと0´-型早期胃癌を指摘。胃癌に対してESDを施行。十二指腸カルチノイドは、EUSでMP浸潤は見られず、CT・MRI上転移・浸潤は認めなかった。直径9mmであることから局所切除の方針となった。術前検査のCFで直腸癌を指摘。EUSでSM浸潤が疑われ局注ではnon lifting sign陽性であったことからこちらも手術方針となった。十二指腸局所切除+直腸低位前方切除術が施行された。
 消化管カルチノイドの発生部位は、直腸が最も多く、ついで胃・十二指腸の順となっている。十二指腸カルチノイドでは球部に存在することが多く、下行脚に存在することは比較的まれである。カルチノイドは他の悪性腫瘍を合併する頻度が高いといわれており、十二指腸カルチノイドにおいては合併率16.1%であるとの報告もあり、特に早期胃癌との合併が多く見られる。このようにカルチノイドは悪性腫瘍合併の可能性があるため全身検索が必要である。