日本消化器内視鏡学会甲信越支部

12. 胃内分泌細胞癌の2例目

信州大学 消化器外科
鈴木 彰、小出直彦、斉藤拓康、唐沢文寿、秋田倫幸、石曽根聡、丸田福門、宮川眞一
同 消化器内科
横沢秀一、金子靖典、井上勝朗、北原 桂
同 内視鏡診療
赤松泰次

 【緒言】偶然,発見から手術まで約2〜3ヶ月の観察期間を持った胃内分泌細胞癌(ECC)の2例を経験したので報告する.【症例1】81歳男性.既往歴に胃癌,直腸癌の手術歴を持ち,経過観察のためのEGDの際に噴門直下に0-IIa+IIc病変を認め生検でECCと診断された.高齢,多重手術などの理由で本人が手術を希望せず,ESDを行う方針となった.発見から約3ヵ月後にESDを試みたところ腫瘍の増大のためESD不能であり,手術を施行した.【症例2】74歳男性.HCCに対してTAE施行後,腹痛を自覚.その際のEGDで噴門下に2型腫瘍を認め,生検でECCと診断された.腹痛の原因は急性虫垂炎で緊急手術を要したため,胃癌に対する手術は発見から約2ヵ月後となった.術前の検査で腫瘍の増大,リンパ節転移巣の増加,増大を認めた.【まとめ】観察期間中に腫瘍の進展を認め,発見時,手術直前の内視鏡所見を含めて提示する.