日本消化器内視鏡学会甲信越支部

5. LSBEに合併した微小Barrett腺癌の1例

長野市民病院 消化器科
立岩伸之,長谷部修,丸山雅史,児玉 亮,武田龍太郎,越知泰英,今井康晴,長田敦夫
同 病理
保坂典子

 症例は55歳,男性。近医にて施行されたEGDで胃底腺ポリポーシスを指摘され,精査目的に2006年1月11日に当科を紹介受診した。当科で再検したEGDでは胃底腺ポリポーシスに加え,LSBEを認めた。LSBE内左壁に5mm大の発赤調の粘膜不整を認め,Barrett腺癌が疑われた。生検にて分化型腺癌を認めた。精密内視鏡検査では通常拡大観察,NBI併用拡大観察,1.5%酢酸散布による通常観察,同拡大観察を行ったが,病変の範囲診断には1.5%酢酸散布が最も適していた。2月28日にESDを施行,病理組織診断は0-IIc, 5mm, tub1, m, ly0, v0, LM(-), VM(-)であった。Barrett食道に合併するdysplasiaや早期癌は肉眼的変化に乏しく,内視鏡診断は一般に困難とされている。1.5%酢酸散布にて術前に正確な範囲診断が可能であったBarrett腺癌の1例を経験したので報告する。