日本消化器内視鏡学会甲信越支部

4. 傍食道裂孔ヘルニアに対し、腹腔鏡手術を施行した1例

国立病院機構長野病院 外科
清水文彰、荒居琢磨、五明良仁、土屋拓司、岡本講平
長野市民病院 外科
宗像康博

 【症例】症例は72歳、女性。平成17年4月頃から食後嘔吐出現し、近医受診、食道裂孔ヘルニアと診断され、プロトンポンプ阻害剤の内服を継続していた。しかしながら、同年11月には水分摂取でも嘔吐繰り返すため、当院紹介入院となった。上部消化管内視鏡検査、造影検査にて傍食道裂孔ヘルニアと診断、入院後も同様の症状が改善されないため、手術適応と判断され、12月20日、腹腔鏡下にヘルニア根治術を施行した。傍食道裂孔には胃が挙上しており、ヘルニア門は約4cm程であった。まず、食道裂孔を露出し、縫合閉鎖を行い、次いで、傍食道裂孔ヘルニア部も縫合閉鎖した。再発防止のため、メッシュを閉鎖部に被覆させた。術後経過は良好で、術翌日から経口摂取が可能であった。術後、嚥下困難や逆流感はなくなり、内服薬の投与は不要となっている。【結語】傍食道裂孔ヘルニアに対する腹腔鏡手術は、低侵襲で患者のQOLの向上に有用と思われた。