日本消化器内視鏡学会甲信越支部

058 小腸憩室に対し、Vertial enteroscopy を試みた1例

新潟労災病院 内科
渡辺 庄治、麻植 ホルム正之、太幡 敬洋

 症例は75歳男性。午後6時に突然の吐血と下血にて当院救急外来受診。来院時、意識は痛み刺激に反応する程度、血圧60台、眼瞼結膜貧血著明で出血性ショックと判断、集学的治療を開始した。翌日のCTにて空腸憩室内に血腫と考えられる高吸収域を認め、空腸憩室からの出血を疑った。小腸内視鏡にてTreitz の靭帯から約5cm肛門側に大きな憩室を認めた。憩室内に出血点とみられる黒色血栓の付着した潰瘍を認め、クリッピングを施行。後日vertial enteroscopy を施行、3 個の空腸憩室を認めた。小腸憩室に対し、vertial enteroscopy は観察範囲、診断能および被験者の侵襲の点で従来の検査法に匹敵する可能性が示唆された。