日本消化器内視鏡学会甲信越支部

013 AL型アミロイドーシスを合併した胃MALTリンパ腫の1例

長野市民病院 消化器科
立岩 伸之、長谷部 修、武田 龍太郎、今井 康晴、長田 敦夫
同 外科
宗像 康博、宮川 雄輔
同 病理
保坂 典子

 症例は57歳,男性。平成5年にシェーグレン症候群と診断され,某病院にて通院加療を受けていた。平成17年4月18日に同院にて施行された上部消化管内視鏡検査で胃体中部小彎に粘膜下腫瘍様の周堤を伴う陥凹性病変を認め,生検にて形質細胞腫もしくはMALTリンパ腫が疑われ,精査加療目的にて5月18日に当科紹介となった。当院にて再検した上部消化管内視鏡検査時の生検では,MALTリンパ腫とともに粘膜,粘膜下にびまん性にアミロイドの沈着を認めた。超音波内視鏡では,第2〜3層に均一な低エコー腫瘤を認め,第4層の肥厚もみられたことから進達度mp病変と診断し,6月13日に胃全摘術を施行した。術後病理組織では,胃体中部に広範囲にわたりMALTリンパ腫を認め,そこに随伴するようにアミロイドの沈着がみられた。一部では胃壁の全層がアミロイドに置き換わっていた。コンゴーレッド染色陽性であり,過マンガン酸カリウム処理に抵抗性を示したためALアミロイドーシスと考えられた。また, MALTリンパ腫は粘膜内病変であり,H.pyloriは陰性であった。アミロイドーシスとMALTリンパ腫の合併症例は医中誌による検索ではシェーグレン症候群の肺病変1例のみであり,まれな病態と考えられたため文献的考察を加え報告する。