日本消化器内視鏡学会甲信越支部

35,胆嚢炎の術前診断における超音波内視鏡(EUS)の有用性

飯田市立病院 消化器科
岡庭信司、中村喜行、山浦高裕、海野 洋
同 外科
平栗 学、堀米直人、金子源吾
同 臨床病理科3
伊藤信夫

[目的]胆嚢炎の術前診断におけるEUSの有用性を明らかにする。
[対象]2000年4月〜2004年9月の間に臨床的に胆嚢炎と診断され、病理学的に確定診断が得られた198例。[方法]まずCTand/orUSにより総胆管結石や潜在的な胆道癌のスクリーニングを行い、総胆管結石陽性例に対しては内視鏡治療を施行した。次に総胆管結石陽性例を除く全例にEUSを施行し、両者の診断能をretrospectiveに比較検討した。
[結果]1)総胆管結石 EUS施行群の感度は96.3%、特異度98.3%、正診率97.9%であり、CTand/orUS群(67.5%、100%、86.4%)に比べ優位に高い感度と正診率を有していた。2)胆道癌 今回の検討では胆嚢癌4例、胆管癌3例の併存を認めた。EUS施行群の感度は85.7%、特異度99.3%、正診率98.6%であり、CTand/orUS群(14.3%、100%、97.0%)に比べ優位に高い感度を有していた。
[結論]EUSは胆嚢炎に併存する総胆管結石や潜在的な胆道癌の拾い上げが可能であり術前検査として有用である。