日本消化器内視鏡学会甲信越支部

34,閉塞性黄疸にて発見された十二指腸乳頭部近傍悪性リンパ腫の1例

信州大学医学部附属病院 消化器内科、2、3
北原 桂、一條哲也、菅 智明、村木 崇、新倉則和、越知泰英、清澤研道
同 内視鏡診療部
赤松泰次
同 臨床検査部
金子靖典、福島真奈3、伊東一博、尾崎弥生、白川晴章、須澤兼一1、太田浩良

 症例は82歳女性。高血圧、高脂血症にて近医へ通院中2005年2月に黄疸を指摘され当科を紹介された。腹部超音波検査にて肝内胆管の拡張を認め、閉塞性黄疸と診断した。その後黄疸は自然軽快したが、上部消化管内視鏡検査にて十二指腸乳頭部近傍に腫瘍性病変を認め、同部からの生検にて悪性リンパ腫が疑われた。腹部CT検査では総胆管、肝内胆管の拡張と膵鉤部に35mm大の淡い造影効果を認める内部不均一な腫瘤性病変を認め、一部十二指腸憩室内への突出が疑われた。EUSでは膵鉤部に20mm大の低エコー領域を認め、一部十二指腸憩室内への露出を認めた。ガリウムシンチグラム、胸部CT検査、下部消化管内視鏡検査にて全身スクリーニングを施行したが他臓器には病変を認めなかった。以上より十二指腸乳頭部近傍ないし膵原発悪性リンパ腫と診断した。高齢であることや自然縮小傾向がみられることから、現在無治療にて経過観察中である。