33,直腸原発内分泌細胞癌の2例

　直腸原発内分泌細胞癌の2例を経験した。
＜症例1＞40歳の女性。下血を主訴に来院し た。直腸癌（Rb）、多発肝転移の診断で腹会陰式直腸切断術・肝動注ポート挿入術を施行した。術後病理診断で内分泌細胞癌であることが判明した。術後に肝動注化学療法施行し、術後2年9ヶ月に肝転移増大し死亡した。 ＜症例2＞82歳の男性。下血を主訴に来院した。直腸癌（Rｓ）、多発肝転移の診断で低位前方切除術を施行した。術後病理診断は内分泌細胞癌であった。術後化学療法は高齢であったため、内服治療のみとした。次第に肝転移増大し、術後9ヶ月で死亡した。
　内分泌細胞癌は、早期より血行性あるいはリンパ行性転移をきたす生物学的悪性度の極めて高い腫瘍である。術前より肝転移、リンパ節転移を高度に認め、予後は極めて不良である。予後の改善のためには、外科的治療のみならず、術前化学療法や放射線療法も加えた集学的治療が望まれる。