56歳女性。外痔核の治療のため、近医で施行された直腸鏡検査にて隆起性病変を指摘され、精査加療目的で当院に紹介された。大腸内視鏡検査では、直腸Rb~Raにかけて広基性隆起性病変とその近傍に多発病変を認めた。生検ではMALTリンパ腫と反応性リンパ腫の鑑別が困難であったため診断的EMRを施行し、low grade B cell lymphoma of MALT typeと診断した。超音波内視鏡では病変は粘膜下層までに限局し、各種画像診断としては他部位への浸潤はみられず、StageTと考えられた。H.pylori感染は認めなかった。まず、抗菌剤投与を行ったが、病変の縮小はみられなかった。30Gy放射線療法を行ったところ隆起性病変は平坦化し、内視鏡所見からはCRと考えられたが、同部からの生検では僅かなリンパ球の残存を認め、現在注意深く経過観察中である。