日本消化器内視鏡学会甲信越支部

27,内視鏡的に整復し得た回盲部腫瘍による腸重積の1例

白根健生病院 内科
石塚基成、平野正明、坪井清孝
同 外科
小川 洋、福田喜一

 症例は25才女性。既往歴に特記すべきこと無し。2004年11月20日頃より間欠的な腹痛と水様便が出現。11月25日に腹痛増強を認め、当院救急外来を初診した。受診時には右上腹部に圧痛を認めるも反動痛・筋性防御は無く、血液生化学検査上でもほぼ正常であった。しかし腹部CTにて回盲部が上行結腸肝弯曲近傍まで嵌入していたため、腸重積の診断で原因精査目的に緊急大腸内視鏡を施行した。回盲部にほぼ管腔全体を占める発赤緊満した大きな粘膜下腫瘍を認めたが、内視鏡下で行ったガストログラフィン造影では腸重積は内視鏡挿入時の操作により既に解除していた。同日入院となり、翌11月26日に回盲部切除術が施行された。切除標本では回盲部に多房性粘膜下腫瘍を認め、病理組織診断は「リンパ管拡張症」であった。術後経過は順調で12月6日に退院となった。腸重積が大腸内視鏡により整復された症例と考えられたため報告する。