日本消化器内視鏡学会甲信越支部

26, 回腸IIc型早期癌の1例

佐久総合病院 胃腸科
堀田欣一、小山恒男、宮田佳典、友利彰寿、米湊 健、森田周子、田中雅樹、高橋亜紀子

 【症例】60代、男性。大腸ポリープ内視鏡的切除後のサーベイランンス目的に大腸内視鏡検査を施行したところ、終末回腸に5mm大の発赤調の陥凹性病変を認めた。インジゴカルミン散布後の観察では陥凹は星芒状形態を呈し、周囲との境界は明瞭であった。クリスタルバイオレット染色後の拡大観察では、陥凹部に一致し、不整の少ないIIIs+IIIL型pitを認めた。深達度Mの回腸IIc型早期癌と診断しEMRを施行した。病理組織学的には陥凹部に一致し、比較的異型の弱い腺癌細胞が、腫瘍中央部では全層性に辺縁では表層性に増殖していた。また、腫瘍辺縁部では組織学的にも絶対陥凹を呈していた。最終診断はEarly ileal cancer, 0-IIc, 5×4mm, NPG type, wel, m, ly0, v0, LM(-), VM(-)であった。
【結論】十二指腸を除いた小腸においてPub Med、医学中央雑誌の検索で陥凹型早期癌の報告例はなく、本例はきわめて稀な症例と考え報告する。