日本消化器内視鏡学会甲信越支部

16, 自然消失した胃低悪性度MALTリンパ腫の2例

石和共立病院 内科
高木 績
甲府共立病院 内科
大場亮一郎、安田慎一郎、小西利幸
同 病理科
畑日出夫

 自然消失した胃低悪性度MALTリンパ腫2例を経験したので報告する。
 1例目は、82歳女性。上部消化管内視鏡検査で、胃底部に径10mmの隆起性病変を認め、生検にて低悪性度MALTリンパ腫と診断した。H.pylori陽性にて除菌治療を予定していたが、患者側の事情で除菌しないまま経過した。8ヵ月後の内視鏡検査及び生検にて、内視鏡所見上も病理所見上も消失した。
 2例目は、68歳男性。上部消化管内視鏡検査で、胃体中部後壁に周囲がやや隆起した潰瘍を認め、生検にて低悪性度MALTリンパ腫と診断した。鏡検法、培養法、血清抗体法いずれにおいてもH.pylori陰性であった。3ヵ月後、内視鏡所見上、潰瘍は改善。2年後、病理所見上もMALTリンパ腫の所見は消失した。
 API2-MALT1遺伝子の検索を行っていないが、自然消失した原因として、H.pylori非依存性であった可能性が最も考えやすい。