症例は55歳女性。検診にて穹窿部後壁に径25mm大の表面顆粒状の褪色調扁平隆起が認められ、当科紹介。周辺に胃底腺ポリープが散在し、RAC陽性であった。背景粘膜は組織学的にinflammation(1+)、activity(-)、atrophy(-)、metaplasia(-)。H.pyloriは培養、UBT、血清抗体いずれも陰性。ESDにて切除し、病理診断はadenocarcinoma (tub1, low-grade, gastric type),m,ly0,v0,LM(-),VM(-)であった。
H.pylori除菌後に発生した胃癌やH.pylori陰性の噴門部癌の報告は散見されるが、複数の検査にて既感染を否定できた胃癌の症例は稀と考え報告する。