日本消化器内視鏡学会甲信越支部

15, H.pylori陰性かつRAC陽性の胃粘膜を背景に穹窿部部に発生した早期胃癌の1例

新潟大学医歯学総合病院 第3内科、
佐藤俊大、小林正明、横山純二、竹内 学、佐藤祐一、 杉村一仁、青柳 豊
新潟大学大学院医歯学総合研究科 分子・病態病理学分野
西倉 健、味岡洋一

 症例は55歳女性。検診にて穹窿部後壁に径25mm大の表面顆粒状の褪色調扁平隆起が認められ、当科紹介。周辺に胃底腺ポリープが散在し、RAC陽性であった。背景粘膜は組織学的にinflammation(1+)、activity(-)、atrophy(-)、metaplasia(-)。H.pyloriは培養、UBT、血清抗体いずれも陰性。ESDにて切除し、病理診断はadenocarcinoma (tub1, low-grade, gastric type),m,ly0,v0,LM(-),VM(-)であった。
 H.pylori除菌後に発生した胃癌やH.pylori陰性の噴門部癌の報告は散見されるが、複数の検査にて既感染を否定できた胃癌の症例は稀と考え報告する。