日本消化器内視鏡学会甲信越支部

13, 酢酸エンハンス拡大内視鏡による胃癌診断の検討

新潟県立吉田病院 内科
八木一芳、中村厚夫、関根厚雄

 酢酸を用いた拡大観察で胃癌診断を行いその有用性を検討した。検討症例は胃癌32例(m癌:24,sm以深:8),腺腫8例。拡大観察で血管構築診断を行った後に1.5%酢酸を散布して粘膜パターンを検討し切除標本の組織像と比較検討した。酢酸散布により粘膜は白色にエンハンスされ,癌部は微細顆粒状など非癌粘膜とは異なるパターンが出現した。さらに癌部は非癌部より白色エンハンスが早期に消失し不規則な微小血管構築像が再出現し白色エンハンスが継続する非癌粘膜とのコントラストが鮮明となった。粘膜下層以深浸潤癌や中分化型腺癌では癌部は3秒ほどで白色化が消失したが、高分化型腺癌では10-20秒程度の白色化が続いた。高異型腺腫ではエンハンスが30秒前後、低異型腺腫では60秒以上エンハンスされ、組織像により白色エンハンスされる時間が異なることが判明した。酢酸によるエンハンス拡大内視鏡が胃癌の存在範囲診断、組織診断に有用であることが判明した。