日本消化器内視鏡学会甲信越支部

10, 残胃胃石によるイレウスの1例

1厚生連長岡中央綜合病院 内科
坂牧 僚、佐藤知巳、岡 宏充、稲田勢介、波田野 徹、富所 隆、吉川 明
同 外科
西村 淳、河内保之、新国恵也、清水武昭

  83歳男性。79歳時に早期胃癌にて幽門側胃切除術、Billroth I法再建を施行されている。平成16年11月15日より嘔気、嘔吐が出現して食事摂取が困難となり、近医を受診。上部消化管内視鏡検査では吻合部にびらんを認めたのみであったが、症状が続くために11月20日に当院内科に紹介入院した。腹部CTにて十二指腸水平部〜上行部にかけて内部不均一で含気性の構造を思わせる腫瘤像を認め、閉塞の原因と考えられた。透視下に胃管を同部位まで進めて保存的加療を続けたが改善しなかった。胃管からの造影ではカニ爪様の途絶像を呈しており、小腸内視鏡検査では表面が黄色調の食渣に被われた腫瘤が嵌頓していた。胃石によるイレウスと診断し、外科に転科して12月16日に開腹手術を施行。手術時には5×9cm大の卵形の腫瘤がTreitz靭帯を越えて空腸に認められ、横切開を加えて摘出した。術後経過は良好で12月25日に退院した。