日本消化器内視鏡学会甲信越支部

7, 食道胃静脈瘤に対する硬化療法施行症例の検討

国立病院機構中信松本病院 消化器科
菅 智明、小林正和、市川真也、児玉 亮、袖山 健

食道胃静脈瘤に対する治療として内視鏡的結紮術が広く行われているが、硬化療法の有用性についてはあまり知られていない。当院で静脈瘤治療を行った21症例について検討した。18例に硬化療法が行われ、うち緊急例は5例だった。3例に静脈瘤結紮術が行われ、うち緊急例は2例だった。硬化療法は透視下で行われ、硬化剤使用量合計は予防例で平均16.2ml(血管内注入11.8ml、血管外注入4.4ml)、緊急例で平均9.4ml(血管内注入8.9ml、血管外注入0.5ml)であり、術後に重篤な偶発症を認めなかった。硬化療法の治療回数は予防例で1〜2回(平均1.7回)、緊急例ではすべて1回で終了した。硬化療法を施行した全症例において再出血は認めなかったが、結紮術を施行したうち緊急例の1例で20日後に再出血を認めた。        透視下で硬化療法を施行することによって予防例、緊急例ともに安全で効果的な治療を行う事は可能であると思われた。