日本消化器内視鏡学会甲信越支部

3, 食道アカラシア術後に生じた胃噴門部巨大架橋による反復性食道閉塞の1内視鏡的治療例

東口病院
中島恒夫、永井規敬、堀 利雄、大橋東二郎

 症例は71歳男性。32歳時に他院で食道-胃穹窿部吻合術を受けたが、手術後も食塊 による食道閉塞を頻回に繰り返していた。身体所見では上腹部に手術瘢痕を認める以 外に特記すべきことなし。食道閉塞時の内視鏡所見で、噴門部の巨大架橋に騎乗する 食塊を認めたため、平成17年1月に内視鏡的に架橋を切断した。術後経過は良好で、 現在まで嚥下障害もない。本症例の様な病態の報告例はMedlineで検索しえた限りで は全くない。
 近年はアカラシアに対する腹腔鏡下手術が普及しているが、過去に古典的手術を受けた患者の高齢化に伴い、より侵襲の少ない治療方法を選択する必要もあり、本症例の治療法も一つの選択肢となり得ることから、治療方法について若干の考察を加え、報告する。