日本消化器内視鏡学会甲信越支部

67.PEG困難のためPTEGを施行し良好なQOLが得られた2症例

昭和伊南総合病院
梶山雅史、田中直樹、堀内朗

【目的】当院で行った経皮経食道胃管挿入術(以下PTEG)2症例について報告する。
【症例1】81歳男性。1976年、胃潰瘍のため胃幽門側部分切除。老年期精神病にて他院通院中、 嚥下障害が次第に増悪していた。2004年7月31日、狭心症のため当院に入院、保存的治療にて改 善した。しかし、誤嚥および意欲低下による経口摂取困難あり、嚥下リハビリテーションを行っ たが改善しなかった。経鼻栄養を行っていたが、QOL改善のためPEGを試みた。しかし上部消化 管内視鏡検査上、残胃が肋骨弓より頭側に位置していたため断念した。9月8日、PTEG施行、術 中の問題は無かった。9月15日、刺入部に少量の膿を認めゲンタシン軟膏塗布を開始したが、改 善しなかった。膿培養にて緑膿菌1+、感受性の高いアクアチム軟膏に変更後、改善を認めた。こ の間、発熱および血液検査での異常を認めなかった。その後の経過は順調であった。9月24日、 シリコン製ボタン式チューブに交換した。
【症例2】76歳男性。1967年、胃幽門側部分切除(詳細不明)。1989年、肺結核後慢性膿胸のた め左胸膜肺全摘。2003年頃から仮性球麻痺による嚥下障害が出現した。2004年7月9日、誤嚥性 肺炎のため当院に入院、抗生剤にて改善した。嚥下障害が強く再発の可能性が高いため経口摂取 を断念し経鼻栄養としたが、患者の鼻腔不快感の訴えが強かった。上部消化管内視鏡検査上、残 胃が肋骨弓より頭側に位置していたためPEG困難と診断、7月29日、PTEGを施行した。術中の 問題は無く、8月15日ボタン式チューブに交換した。8月19日、チューブから残胃内容物の逆流 を認めたため、シリコン製ボタン式チューブに変更し、残胃内にあったチューブ先端を十二指腸 下行部に移動したところ、逆流はみられなくなった。その後の経過は順調であった。
【結論】PTEGは手技も安全に施行でき、患者QOLの改善に有用な方法である。