日本消化器内視鏡学会甲信越支部

63.胃病変により確定診断されR-CHOPが著効したB細胞悪性リンパ腫の1例

山梨県立中央病院内科
中田祐紀、小嶋裕一郎、中島淳子、松井啓、鈴木洋司、望月仁、廣瀬雄一、高相和彦

症例82歳、男性。2004年4月28日に吐下血を認めたため某院入院。出血性胃潰瘍の診断で加 療されていた。同院を5月13日に退院、その後も腹痛、食欲低下を認めるため、5月31日当院紹 介受診。CTにて両側の副腎腫大を認め精査加療目的にて同日入院。入院後の上部消化管内視鏡検 査で、胃体上部大彎に潰瘍性病変を認め、同部の生検にてdiffuse large B cell lymphomaと診 断した。胃体下部および後壁および十二指腸にも同様の病変を認めた。CTでは、右副腎に77 x 55 mm、左副腎に104 x 47 mmの腫瘤を、また、傍大動脈、腸間膜リンパ節腫大、脾腫を認め た。ガリウムシンチグラフィーでは、両側副腎に集積像を認めたが、他に集積は認めなかった。 以上からdiffuse large B cell lymphoma, stage IVと診断し、CD20陽性であることからRCHOP を合計3回実施した。両側副腎腫瘤および腹腔内リンパ節は著明に縮小した。
以上、胃病変により確定診断され、R-CHOP療法が著効したstage IV悪性リンパ腫を経験した ので、文献的考察を加え報告する。