日本消化器内視鏡学会甲信越支部

58.内視鏡的に切除した胃hamartomatous polypの一例

信州大学消化器内科
横沢秀一、村木崇、三澤倫子、伊東一博、金子靖典、井上勝朗、小見山祐一、進士明宏、清澤研道
信州大学消化器内科同内視鏡診療部
赤松泰次

症例:74歳の女性。胸部つかえ感を主訴に近医受診し、上部消化管造影検査にて胃体上部の異 常を指摘され、2003年8月当科を紹介された。当科にて施行した上部消化管内視鏡検査では胃体 上部に20mm大の亜有形性の病変を認め、表面は正常粘膜で覆われており、粘膜下腫瘍の形態を 呈していた。超音波内視鏡検査では3層由来のやや低エコーな病変として描出され、内部に複数の 無エコー領域を認めた。基部が比較的狭いため、10月8日内視鏡的切除術を施行した。切除標本 ではポリープ表面が腸上皮化生のある体部粘膜で覆われており、内部では異型のない粘膜が内反 性の増殖を示し、一部で内腔の拡張が見られ、hamartomatous polypと診断された。切除断端 は陰性であり、術後は再発なく、経過良好である。hamartomatous polypは粘膜下に異所性に 腺管の増生を認め、胃内腔に膨張性に発育してポリープ状の形態を示す病変であるが、胃粘膜下 腫瘍の鑑別として、重要と思われ、報告する。