日本消化器内視鏡学会甲信越支部

49.右反回神経周囲リンパ節に転移が認められたBarrett腺癌の一切除例

山梨大学第1外科
高橋宗一郎、河野浩二、小俣秀雄、須貝英光、藤井秀樹
山梨大学第1内科
大塚博之、中村俊也、榎本信幸

症例は75歳、女性。食物つかえ感と体重減少を主訴に近医受診し、精査、加療目的に当院紹介 入院となった。上部消化管内視鏡検査では、胸部下部食道に3/4周性の狭窄を呈す3型病変があり、 生検にて腺癌の診断であった。Short segmentバレット食道上皮が存在し、バレット腺癌との術 前診断となった。平成15年6月17日右開胸開腹胸部食道摘出術、3領域リンパ節郭清、胃管胸腔 内吻合術を実施した。病理組織学的検査にて、Lt-Ae、T3(Ad)、pN2, M0, stage III、中分化型 管状腺癌で、ly2、v0の所見であった。正常の食道扁平上皮と腺癌との間には、食道固有腺の直上 に腸上皮化生をともなう特殊円柱上皮が認められ、バレット上皮の存在が確認された。リンパ節 転移が高度にあり右反回周囲リンパ節(106recR)の転移が認められた。バレット食道腺癌(進行 例)では、少なくとも十分な上縦郭リンパ節郭清を含む2領域以上のリンパ節郭清が必要と考えら れた。