日本消化器内視鏡学会甲信越支部

28.Real-time Virtual Sonographyを併用して経皮的ラジオ波治療を行った肝細胞癌の2例

長野市民病院内科
今井康晴、市川真也、竹花直樹、立岩伸之、長谷部修、長田敦夫

【目的】肝癌の診断はCTで行われることが多く,中にはCTでのみ描出されてUSでは描出しにく い肝癌も経験する.一方,早期に発見された肝癌に対してUSガイドに経皮的ラジオ波治療 (RFA)が行われることが多くなっている.この際にCTで描出された病変がUSで描出されてい る病変と一致しているか迷う場合も経験される.このような問題を解決しうる診断補助装置とし ての日立メディコ社製Real-time Virtual Sonography(RVS)を使用する機会を得たので報告す る.【RVSの方法】予め撮影してあるMultidetector-row CTのVolume DataをRVS専用の Work Station(WS)に入力し,患者の横に磁気発生器を置いて,日立メディコ社製超音波診断 装置のプローブに磁気センサーを装着する.超音波プローブの位置情報が常にWSへ送られて,そ の位置情報に対応するCTのMPR画像が常にリアルタイムでWS上にUS画像と並んで描画される. RVS開始時に剣状突起で位置合わせを行い,肝内の血管,腫瘍を目安に補正した.【成績】症例1 は75歳,男性.平成13年にC型肝硬変に伴う肝細胞癌破裂に対して肝動脈塞栓療法,肝S8部分切 除術を行い,平成16年3月のMRI,4月のCTAP, CTHAから肝S4, S7の肝細胞癌再発と診断され, 5月26日にRVS併用にてRFAを行った.症例2はC型肝硬変で外来follow中,平成16年2月のMRI, 3月のCTAP, CTHAから肝S8孤立性肝細胞癌と診断されたが,USでは描出できなかった.5月 26日に人工胸水下でRVSを用いて観察したところ,USでは描出できなかった肝S8病変をUSで描 出可能となり,同部位のRFAを行うことができた.【結論】RVSを用いることで,今まで困難で あったCT画像とUS画像の統合が可能となり,必要な部位のみに対するより正確なRFAが可能と なるが,慣れるまでの間,位置合わせに時間がかかるため,今後の改良に期待したい.