日本消化器内視鏡学会甲信越支部

25.18例のC型肝硬変、血小板減少例(58000〜85000/μl)に対する少量IFN-β療法の治療成績

飯田市立病院肝臓内科
山浦高裕、海野洋、岡庭信司、中村喜行
昭和伊南総合病院肝臓消化器内科
山浦高裕
富士見高原病院内科
太田裕志
松尾医院
松尾恭介
信州大学医学部消化器内科
一條哲也、田中栄司、清澤研道

C型肝硬変に対するIFN療法は血小板および白血球減少に伴う出血, 感染が危惧されることや、 肝不全の惹起の可能性から積極的に行われておらず、本邦においては保険適応外とされているの が現状である。しかし、C型肝硬変は高度HCC合併危険群であるため、その治療は急務である。 今回、我々の施設では血小板58000〜85000/μlのC型肝硬変18症例に対して24週間の少量 IFN-β療法を行った。全例が脱落せず24週間の少量IFN-β療法を行うことが可能であった。治療 成績はCRが4例、ICRが2例、PRが7例、NRが5例であった。HCV遺伝子型2a型, HCV-RNA量 が100KIU/ml以下の4例は3例がCRとなった。HCV-RNA量が350KIU/ml以上ではウイルスの 駆逐は難しいが、ICRとなる症例もありトランスアミナーゼを安定化させることができる可能性が あると考えられた。また、治療終了後21〜40ヶ月の経過観察期間において18症例中5例において HCCの合併を認め、HCC合併5例中4症はPRおよびNRであった症例よりの発癌であり、HCC合 併5例中3例はIFN療法前にHCC合併の既往症例であり、少量IFN-β療法の治療時期はHCC合併 前に試みるべきと考えられた。