5ヶ月前の第56回本地方会においてcollagenous colitisの症例が提示された。本邦報告例は少
ないものの、内視鏡的に異常所見を認めない慢性下痢症例では本疾患を念頭におかなければなら
ないことをご教示いただき、その後2例のcollagenous colitisを診断し得たので報告する。
【症例1】68歳、男性。水様性下痢が2ヶ月続き、下部消化管内視鏡検査施行した。明らかな異
常所見はなく、血管透見不良や発赤などわずかな粘膜変化を全大腸に散在性に認めた。
collagenous colitisを疑い、上行結腸、S状結腸より生検施行。病理組織診断にて、上皮直下に帯
状の膠原線維の存在と中等度の単核球浸潤を認め、collagenous colitisと診断した。塩酸ロペラ
ミド投与にて症状改善した。
【症例2】39歳、女性。健診便潜血陽性にて下部消化管内視鏡検査施行。血管透見の不良な粘膜
散在、リンパ濾胞過形成の他には異常所見なく、S 状結腸からの生検病理組織診断にて
collagenous colitisと診断した。自覚症状なく、経過観察としている。
一般にcollagenous colitisはlymphocytic colitisとともにmicroscopic colitisの一組織型と
して扱われ、内視鏡検査においては異常所見を認めないとされている。一方われわれは以前より、
下部消化管内視鏡検査において異常とはとれないものの微細な粘膜変化を示す症例を経験してい
た。これまで非特異的な変化として捉えていたが、それらがcollagenous colitisの症例として提
示された内視鏡所見と類似していたことから認識を新たにし、今回の診断につながったと考える。
また、collagenous colitisの内視鏡所見といえるものがあるか、病理組織との対比を含め検討し
た。症例数が少ないため、他施設での経験などからご意見いただければと考え報告する。