日本消化器内視鏡学会甲信越支部

6.術前に部位診断が可能であった小腸GISTの1例

長野県厚生連篠ノ井総合病院外科
熊坂美紀子、池野龍雄、加藤響子、佐藤敏行、花崎和弘、市川英幸

[症例]60歳女性,僧帽弁狭窄症に対し,H16.4.16心臓血管外科にて手術を施行した.術後 H16.4.29に大量の下血が見られた.上部・下部消化管内視鏡検査を施行するも出血点不明であっ た.小腸からの出血が疑われた.腹部CT検査施行したところ,骨盤内の小腸に径3.0cm大の腫瘍 が見られた.腹部血管造影検査にて上腸間膜動脈,回結腸動脈の分枝に腫瘍が見られた.CT検査 に一致する部位であった.回腸腫瘍と診断し,手術を施行した.H10年に胆石症に対し,腹腔鏡 下胆嚢摘出術を施行していたが,腫瘍が下腹部にあることが術前診断されていたため,腹腔鏡補 助下に回腸部分切除術を施行することとした.H16.6.9手術施行.腹腔内は上腹部に大網がわず かに癒着していたが,下腹部は殆ど癒着していなかった.回腸に径5cm大の腫瘍が容易に見つ かった.腫瘍部を創外に引き出し,回腸部分切除した.病理結果はGISTであった.[結語]下血に て発症し,CT,血管造影にて回腸腫瘍と診断し,腹腔鏡補助下に切除した回腸GISTの1例を経験 したので報告する.