植物学と植物生理学
ブルーベリーの栽培に役立つ植物学や植物生理学について
葉の構造について |
植物ホルモンについて |
参考リンク |
以上のことを念頭において増殖の場合の葉芽の活用について考えてみました。
挿し木の場合
葉芽の部分については挿し木の場合でも葉芽のちょっと下を切って挿すと発根率が上がるとか言うことは定説化しているようです。
挿し木で葉芽の部分のすぐ下で切るというのは根は低い部分で出やすくてそういった場所に
葉芽のような特別なポイントを設定することでより発根を促すことが出来るからではないかと思います。
多量にオーキシンを生合成できる部位は茎頂分裂組織、若い葉などらしくて
挿し木の際に葉芽から発根しやすいというのも葉芽という分裂組織がオーキシンを合成する場所だからということかもしれません。
接ぎ木の場合
最近では接ぎ木をするときに葉芽の部分を絡めると成功率が上がるようだというような説も出てきています。
(私のHPの掲示板やTMCのTOMOさんの掲示板などでBB讃岐さんがその可能性について述べられてTOMOさんも最近は試行を考えているようです)
接ぎ木の場合でも葉芽の部分には栄養や水分が他より多く供給されていると思われるから上手に利用すれば確かに成功率があがるとも考えられます。
特に台木の接合面の何処かに葉芽を持ってきたらより効果的ではないだろうかと考えました。
なお、葉芽の部分は形成層などが直線ではなくなるのでそのあたりを考慮するとか
ピンポイントで穂木の形成層を台木の葉芽に合わせるという工夫が必要になりそうに思います。
取り木の場合
取り木はあまり行われていないようですが一応触れておきます。
取り木をする場合、発根させたい部分を傷つけるのですがこの場合も葉芽そのもの、
あるいは葉芽の付近を傷つけて発根促進剤を塗れば葉芽から発根しやすいということが考えられます。
植物生理学の時と同じようにこういった構造が分かっていると例えば接ぎ木一つをする場合でも
色々な工夫も出来そうに思います。良い工夫などありましたら教えていただければと思います。
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植物ホルモンについて
植物ホルモンには5種類あってオーキシン,サイトカイニン,ジベレリン,エチレン,アブシジン酸と
植物ホルモンとして作用するスレロイドホルモン,ブラシノステロイドなどが確認されています。
オーキシン,サイトカイニン,ジベレリンが成長促進ホルモンで
エチレン,アブシジン酸は成長抑制ホルモンです。
オーキシンとサイトカイニンについて説明します。
オーキシンもサイトカイニンも成長促進ホルモンです。
サイトカイニンというのは成長を促進したり植物を若く保たせるためのホルモンで主に茎や葉を作らせようとするホルモンです。
頂芽優勢もこれによって引き起こされます。これは主に根で合成されます。
オーキシンも生長を促進させるホルモンですがこちらは主に根を作らせようとするホルモンです。
癒傷組織やカルス形成の促進などもするようです。こちらは主に頂芽や花芽で合成されます。
サイトカイニン |
オーキシン |
根を作るホルモンがが頂芽で作られ、頂芽などを作るホルモンが根で作られる。
お互い対極の部分で生長促進ホルモンが合成されます。
頂芽優勢もこの二つのホルモンが影響しています。
「オーキシンはサイトカイニンのシンク能を高める作用を持っているので頂芽でのサイトカイニン活性が著しく高まる」ということのようです。
参照↓
植物生理学の講義内容
常々地上部と根はバランスを保とうとしている言っていますがここでもうまくバランスが取れる仕組みがあるようです。
例えば両方活発に生長しているときはお互いにホルモンを出し合いますが、
接ぎ木や切り戻しなどで地上部が無くなったらオーキシンの合成が著しく減りますね。
だから根はあまり作られなくなります。
一方根は沢山あるからサイトカイニンは沢山作られて地上部はどんどん大きくなろうとします。
きり戻しをなどをしたときに根がそれ以上生長しないのはこのあたりにも理由があるようです。
こんなことを知っていると剪定や切り戻しで枝一つ切るにしても今までは闇雲に切っていたのが
植物の生理について考えながら切る場合は違ってきそうに思います。
「こいつは早く根を大きくしたいから今年は剪定は控えようとか、
こいつはもう根は十分大きいからきつめに剪定しても直ぐに大きくなってくれるだろうとか」そんな感じですね。
ホルモン剤処理について
植物ホルモンは理論としてだけでなくて結構身近にあったりもします。
よく発根促進剤として使われるオキシベロンもルートンも合成オーキシンです。
(オキシベロンはインドール酪酸の製剤で、ルートンはナフタレン酢酸アミドです)
オーキシンは癒傷組織やカルス形成の促進もするからもしかしたら接ぎ木で台木の切り口とか
穂木で切り口が見えているところなどに塗ったらもしかしたらカルス形成が促進されたりするかもしれません。
ブルーベリーにジベレリンを散布すると結果率向上と果実肥大が期待できます。
参照↓
ブルーベリーの促成栽培に関する研究(第1報)温室搬入時期, 品種,
GA処理
植物ホルモンのサイトカイニンを散布することによっても果実肥大が期待できるとの報告があります。
合成サイトカイニン剤の果樹に対する利用法の開発
「ブルーベリーに対し、10ppm液を落弁期に散布すると、果実肥大効果が認められるとともに、
無処理に比べ収穫期が遅くなり、収穫労力の分散を図ることができると判断された。」
また葡萄ではジベレリンとサイトカイニンの併用でさらなる果実肥大をさせることが出来るという報告があります。
参照↓
ぶどう栽培指針←7、結実管理
ホルモン剤についても興味深いですが、↑こちらのページは葡萄を栽培する方は参考になりそうです。
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参考リンク
岐阜大学の福井先生が植物生理学の講義内容をUPしているページがあります。
分かりやすくコンパクトにまとまっていて読みやすいと思います。(それでもそこそこの量はありますが)
全部を読むのは大変かもしれませんが植物ホルモンのところなどはブルーベリーでも
挿し木や接ぎ木などの増殖や剪定、結実にも関係するから飽きずに読めそうに思います。
植物生理学の講義内容
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