サンワンリバーでの14日間 Part.2


             目指すはサンワンひたすら走る

ティムとの出会い
 
サンワンリバーはパート1に書いたように、
赤土の岩山に背の低い松や草が茂るような、言ってみれば、
見渡す限りディズニーランドの
ビックサンダーマウンテンにしたような景色の中を流れている。
ダムのおかげで釣り場があるようなもんだから、
高品質な釣り場区間はダムから下5qほどとなる。

それよりも下流に行くとトラウトはいるもののダム下ほどの安定したものはないようだ。
そんなせいで釣り人が集まる場所は自然と決まってきて、
そこにはアメリカ国内はもとより、世界中から集まる釣り人のために、
2,3件の釣具屋と雑貨屋、ガソリンスタンド、モーテルが並んでいる。
その中でもひときは目立ち人が集まるお店にエイブスフライショップ&モーテルがある。
そのエイブスを経営する男ティムが、サンワンを誰よりも愛し、誰よりもよく知り、
言ってみればティムはミスターサンワンである。

ティムを始めて見たのは、2年ほど前に友人から借りたビデオの中だった。
佐藤セイジさんがサンワンの釣りを紹介するビデオで、
ティムはフィッシングガイドとして登場していた。
はいてるジーンズがどう見ても体のサイズにあってなくピチピチだったり、
赤いジャケットがやけに似合ってたり、
癖のある竿さばきで、どこか抜けた高い声のティムが
「サカナ!」と日本語交じりで魚とやりとりしたり、
「この人はおもしろい人だ」と、
サンワンリバーの釣りだけでなく、ティムという男に興味をもった。
2000年に私の彼女とサンワンを訪れ、
ビデオが話の種になり、ティムと話が始まった。
どこか抜けた明るさはビデオで見たとおりで、
始めて会った瞬間から英語もままならないのに、
英語が通じなくても会話ができるような、不思議に気が合う仲になっていた。


    こういうハプニングが旅を面白くする


サンワンリバーで働こう

2001年8月北海道の釣りも一段落した頃、ひとつの名案が思い浮かんだ。
「今年もサンワンに行こう。しかもエイブスで働かせてもらおう」
思い立ったらすぐ行動。さめないうちにティムへ手紙を出した。


ティムへ
 俺を覚えているか?去年いろいろとお世話になった拓志だ。
 俺ら(俺と広兄)は今年の秋サンワン行きを考えている。
 時間はたっぷりあるものの問題のお金がない。
 だから働かせてほしい。
 皿洗いでも、ベッドメイクでも下手な通訳でも何でもいい。
 もちろんお金はいらない、ビザの関係も面倒だし。
 そのかわりベットと食事を提供してくれ。そしてサンワンで釣りがしたい。
 あれば自転車も貸してほしい。
 拓志より


正しいかわからない英語にサンワンでの写真を添えて手紙を出した。
もちろん無理を承知だった。
でも面白そうなひらめきにちょっぴり楽しみだった。
北海道もひと雪降ればライズもなくなり、
テントと車での生活も寒さが億劫にさせ、
テロのおかげか?安い航空券を手に入れ、
10月まだ白い粉の行き交うアメリカへ広兄と出発した。
結局ティムからの返事はないまま、サンワンへと向かった。
ティムに会うのが楽しみだった。


いつから働く?

サンワンに着き軽く釣りを終わらして、エイブスに行ってみると、
相変わらずの聞き覚えのある声が店の中から聞こえてくる。
「おーまた来たのか」、といった感じにあいさつを交わし、
来る途中タイヤがパンクした話をしたら、
さっさと空港やレンタカー会社に電話してくれて、事を済ませてくれた。
ほんとにティムの親切には頭が下がる。
手紙の話を持ち出してみると、返事を書かなかったことを謝ってくれた。
話によると、俺がエイブスで働きたいということを父エイブに話したところ、
OKはでていて、お金も払っても良いというところまで話はまとまっていたらしい。
だけどビザが面倒と言うわけで話が止まっていたわけだった。
そんなことから、エイブスで働く話が始まって、「働けば?お金なら払うよ」
「いつから働く?」とティムが持ち出してきた。
「???」
サンワンにはもう来てしまったわけで、2週間で帰らなくちゃいけないし、
「not now」と答えた。
ここサンワンで働く?突然持ち出された話に心が揺れた。


ミスターサンワン「写真とるなよ〜」とてれるティム

そんな事を考えながら、サンワンのライズにもてあそばれながら、
5日間も釣りまくれば、満足の釣りそして魚を写真に収めることができ、
魚釣りにがちょっぴりマンネリ化していた。


          空港の警備は軍隊だった


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