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みなさん、こんにちは。行政書士の高坂大樹です。業務多忙につき2ヶ月間お休みさせていただきましたので、3ヶ月ぶりのメルマガになります。今回は入管法の改正についてお話します。
今年の7月8日に参院本会議で入管法等の改正が可決成立しました。今回の改正は抜本的な改正になりますので、項目によっては制度を整備するのに時間がかかり、施行まで段階的に準備期間が設けられています(最長で平成21年7月15日から3年以内)。今回のメルマガでは、外国人にとって重要と思われるポイントをごく簡単に紹介します。
(1)新たな在留管理制度の導入(7月15日から3年以内)
これまで、在留外国人に関しては、入管法に基づく国(入国管理局)と外国人登録法に基づく市町村が二元的に管理してきましたが、これを改め法務大臣(入国管理局)のもとで一元的に把握管理されることになりました。法改正後は、外国人登録法が廃止され、外国人に関しても住民基本台帳法が適用されることになり、短期滞在者等と特別永住者を除いて、外国人登録証に変えて在留カードが交付されるようになります。また、特別永住者については、外国人登録証に変えて特別永住者証明書が交付されます。なお、特別永住者証明書については常時携帯義務が不要になります。
これに伴い、在留期間と再入国許可の有効期間の上限が「3年」から「5年」に伸長されるとともに、みなし再入国許可制度が設けられ、有効な旅券および在留カード・特別永住者証明書を所持する外国人が1年(特別永住者は2年)以内に再入国する場合は、原則として再入国許可を受けることなく出国できるようになります。
(2)研修・技能実習制度の見直し(7月15日から1年以内)
研修・技能実習制度を見直し、在留資格「技能実習」が新設されます。現在の「研修」期間にあたる改正後の「企業での技能習得」期間に関しても、労働基準法・最低賃金法等が適用されることになります。ただし、現在の「技能実習」期間に当たる「一定の職種について企業での技能実習」期間への移行については、これまでどおり在留資格変更手続により行なわれます。
(3)「留学」と「就学」の一本化(7月15日から1年以内)
これまで、大学や専修学校の専門課程については在留資格「留学」、高校・専修学校の高等および一般課程・各種学校については在留資格「就学」と区分けされてきましたが、改正後は在留資格「留学」に一本化されます。またこれに伴い、在留期間の最長期間が「2年3月」から「4年3月」に伸長される予定です。
(4)在留期間の特例(7月15日から1年以内)
在留期間の満了の日までに在留期間更新あるいは変更の申請した場合において、在留期間の満了までに申請に対する処分が終了しない場合は、処分がなされる日または在留期間満了の日から2ヶ月を経過する日のいずれか早い日まで、在留期間の満了後も引き続き当該在留資格で日本に在留することができるようになります。
(5)新たな退去強制事由
法改正に伴い、新たな退去強制事由が5項目設けられます(1〜3は7月15日から1年以内、4・5は3年以内)。
さて、今回の改正は外国人の方にとって概ね便利で有益なものですが、外国人登録から在留カードへ移行されるに当たって、次のような問題点も指摘されています。
これまでは不法滞在者も基本的に外国人登録を受けられたため、不法滞在者でも一定の住民サービス(子供の学校入学など)が受けられました。しかし改正後は在留資格を有さなければ在留カードの交付を受けられないため、退去強制されたくない不法滞在者は変更しない可能性があります。そのために、これまで受けられてきた住民サービスから排除されるのではないかという問題です。しかし、不法滞在者は法を犯しているわけですから、法を遵守している外国人と比べて不利な点があるのは、単純労働も含めて全面的に外国人を受け入れるように入国制度を改正しない限りはやむを得ないでしょう。また、7月に改定された在留特別許可に係るガイドラインで、相当期間日本の学校に通って日本語で教育を受けている子供と生活している場合(たとえば日本で生まれて10歳以上で学校に通う子供がいる場合)は在留特別許可を認める方向で検討するなどと今までより基準が緩和されましたので、外国人登録を受けられた不法滞在者が在留カードの交付を受けられなくなるという問題についても一定程度フォローされることになります。
※上記の項目以外や詳細については、入国管理局のウェブサイト内で紹介されていますので、そちらをご覧ください。
入国管理局「入管法が変わります!〜新たな在留管理制度」
平成21(2009)年9月1日
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