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◆第46章 留学生の就職について(2)◆

みなさん、こんにちは。行政書士の高坂大樹です。前回から留学生の就職をテーマに取り上げていますが、今回は卒業までに就職できなかった場合についてお話します。

昨春の大学卒業者の就職率は、平成19年4月1日現在で96.3%でした。今年の就職内定率は、平成20年2月1日現在で88.7%です(厚生労働省及び文部科学省の調査による)。大学を卒業しても、必ずしも就職できるとは限りません。日本人でも就職できない場合がありますし、外国人留学生の場合も同じです。入管法上に規制がある留学生は、どんな職業にでも就ける日本人と比べて不利な面も多いのですが、逆に外国語ができる分だけ日本人よりも有利な面もあります。また、日本人の場合は就職しないでフリーターという選択肢もありますが、外国人の場合は不法就労や不法滞在になってしまうのでこれは許されません。

留学生が卒業までに就職できなかった場合、卒業してしまえば留学生ではなくなるので、そのままでは在留できなくなります。それではどうすればいいか。結論を言いますと、卒業後も継続して就職活動したい場合は、「留学」から「短期滞在」へ在留資格を変更すれば、違法状態にならずに就職活動を続けることができます。基本はこれだけなのですが、留学生の条件によって多少の違いがありますので、以下、理解しやすいように項目に分けて説明します。

▼大学(短大・大学院)卒業者の場合
平成16年2月27日から大学(短大・大学院)の卒業後も継続して就職活動をする場合には、「留学」から「短期滞在」へ在留資格を変更することができるようになりました。これは構造改革による規制緩和の一環として実施されるようになった措置ですが、これにより一時的に無職の状態になった場合でも在留が可能になりました。この場合の在留資格の変更には、在籍していた大学からの推薦状等の書類が必要です。「短期滞在」の在留期間は90日ですが、1回の在留期間の更新が認められていますので、これにより最長180日間(約半年間)就職活動することが可能です。加えて、「短期滞在」の在留資格では通常資格外活動(アルバイト)の許可や再入国(一時帰国)の許可は認められていませんが、継続して就職活動する場合で個別に申請した場合は許可されます。

▼専修学校卒業者の場合
専修学校で「専門士」の称号を取得した留学生が、就職を目的とした在留資格変更許可申請をした場合には、変更を認める取り扱いとなっていましたが(平成9年7月から)、平成18年3月からは専修学校の卒業生でも卒業時に専門士の称号を取得していれば、大学(短大・大学院)の卒業生と同じく「短期滞在」へ在留資格を変更することができるようになりました。ただし、専門士の称号を取得していても、美容師など外国人が働くことが認められない職種の場合は、就職が決まったとしてもそもそも在留資格の変更が認められませんので、就職活動のための「短期滞在」への変更も認められません。ちなみに専修学校には専門士の称号が取得できない専修学校もありますので、卒業後に日本で就職を考えている人は注意して下さい。在留資格の変更には、在籍していた専修学校からの推薦状等の書類が必要です。

▼「短期滞在」期間中に内定した場合
また平成18年3月からは、「短期滞在」の在留資格での就職活動中に就職先が内定した場合は、採用までの間(ただし卒業後1年以内の在留に限る)、「短期滞在」から「特定活動」への在留資格の変更が認められるようになり、待機期間中に帰国する必要がなくなりました。この場合は、内定先の企業からの誓約書等の書類が必要です。

▼起業する場合
就職する場合とは異なりますが、平成19年11月から、日本で企業を目指していて卒業時にまだ起業を完了できなかった場合に、卒業後も継続して起業準備を行なう留学生が500万円以上の資金調達などの要件を満たしている場合には「短期滞在」への変更(及び1回の更新)が認められています。現実に起業した暁には「短期滞在」から「投資・経営」に変更します。

▼留学生の家族の場合
留学生が卒業までに就職できず、卒業後も継続して就職活動したい場合には以上のような方法がありますが、留学生には家族を同伴している方も少なくないので、「家族滞在」の在留資格で在留している家族で、留学生が就職活動中あるいは起業中に在留期間が満了し、その後も引き続き在留を希望する時は、「家族滞在」から「短期滞在」へ変更する必要があります。

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平成18年に「留学」及び「就学」の在留資格の外国人が卒業後に就職し、在留資格変更許可申請を行なった件数は9034人で、このうち認められたのは8272人(91.6%)です。変更後の在留資格は「人文知識・国際業務」が5938人、「技術」が1720人と2つの資格で92.6%を占めています。ちなみに平成18年に国外からリクルートして在留資格認定証明書の交付を受けた外国人は、「人文知識・国際業務」が9390人、「技術」が9954人で、併せて1万9344人です。留学(就学含む)からの就職が占める割合が、「人文知識・国際業務」では38.7%、「技術」では14.7%となっており、外国人雇用において留学生(就学生)が大きな存在であることを示しています。

※最新トピックス〜「留学」と「就学」の一本化〜
3月20日のアサヒ・コムの報道によると、政府は在留資格の「留学」と「就学」の一本化を検討しているようです。これは19日に開かれた自民党留学生等特別委員会で、法務省の田村明入国在留課長が明らかにしたものです。これはどういうことかと言うと、現在の制度では大学・短大・大学院・専修学校(専門課程)は「留学」、高校や日本語学校などは「就学」と分けられており、不法滞在や不法就労を予防するためにレベルが高度な「留学」と比べると「就学」は厳しく運用されてきましたが、改正後は「留学」に合わせる形になり規制が緩和されるようです。

平成20(2008)年4月1日

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