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◆第41章 国籍選択制度について◆

みなさん、こんにちは。行政書士の高坂大樹です。今回は国籍選択制度についてお話します。

日本ハムにダルビッシュ有という投手がいます。甲子園(東北高等学校)で活躍して日本ハムに入団、3年目の今年はエースとして15勝5敗、防御率1.82、最多奪三振(210)などの輝かしい成績を挙げ、日ハムのパ・リーグ優勝に貢献し、沢村賞を受賞しました。野球ファンはもちろんご存じでしょうが、イケメンで、今年の8月にはタレントのサエコとの熱愛報道でワイドショーを騒がしましたので、野球に興味のない方でもご存じの方は多いと思います。ダルビッシュ選手は父がイラン人、母が日本人のハーフです。日本の戸籍では東本有、イラン風の正式な名前はダルビッシュセファット・ファリード・有というそうです。彼はイランと日本の2つの国籍を持っていましたが、つい最近、この度2つの戸籍のうち日本国籍を選択したという報道がありました。

国籍選択制度は、日本の国籍以外に外国の国籍を有する重国籍者は22歳に達するまでにどれか一つの国籍を選択しなければならないという制度です。ただし、20歳に達した後に重国籍になった場合は、その時から2年以内に選択することになっています。重国籍者を対象とする国籍選択制度ですが、重国籍になるのは以下の2つが代表的です。

1、国際結婚で生まれた子供
日本は父母両系血統主義をとっているので、国際結婚で父あるいは母が日本人の場合は日本国籍を取得します。そして、相手が父母両系血統主義の国の出身である場合(父母どちらでも可)、あるいは父系血統主義の国の出身の父の場合は、その出身国の国籍も取得しますので重国籍になります。このメルマガでも解説したことがありますが、婚姻準正などもこのケースに入るでしょう。

2、生地主義を採る国で生まれた子供
アメリカなど生地主義をとる国で生まれた場合は、両親とも日本人だったとしてもその国の国籍を取得します。この時、国際結婚であれば三重国籍になることもあります。

3、その他のケース
この他、国際結婚・養子縁組・帰化の場合などでも、重国籍になる可能性があります。

国籍選択制度が導入されたのは昭和60年です。この時、同時にそれまでの父系血統主義から父母両系血統主義へ変更しました。国籍選択制度の導入は、父母両系血統主義の採用によって重国籍者が増えることが予想されることから、日本がとっている国籍唯一の原則に抵触するのを防ぐ目的がありました。実は法務当局にとっては、重国籍者が選択するまでの間も、国籍唯一の原則に抵触しているわけで望ましいことではないのですが、当事者が国籍をどうするかを自分で判断できるまでの成人までと成人後判断するまでの2年の熟慮期間が設けられています。ただし、別に20歳になるまでは選択できないということではなく、15歳未満は法定代理人(基本は親)が、15歳以上は本人が選択することができます。

実際に国籍選択を行なうには、外国国籍を選択する方法と日本国籍を選択する方法があります。外国国籍を選択する方法は2つあり、法務大臣に日本国籍の離脱を届け出る方法と、外国の法律に従ってその国の国籍を選択する方法です。日本国籍を選択する方法にも2つあり、外国の法律に従ってその国の国籍を離脱する方法と、日本の役所に国籍選択届を提出する方法です。なお、報告的届出として、外国国籍を選択した場合は国籍喪失届を、外国国籍を離脱した場合は外国国籍喪失届を、それぞれ役所に提出する必要があります。

現在、国籍選択制度は、当事者(重国籍者)や国際法務関係者の注目を集め始めています。というのは、今年は平成19年(2007)ですが、国籍選択制度が立法化されたのが昭和60年(1985年)ですから、そこから22年経過したことになり、その年以降に生まれた者が選択期限の22歳になり始めているからです。期限までに国籍の選択をしなかった場合は、法務大臣はその者に対して国籍選択の催告をすることができ、対応によっては日本の国籍を喪失することがありますので要注意です。

まだこれまで法務大臣による催告が実施されたことはないようですが、ハーフの有名人の場合や、22歳を過ぎているのに大っぴらに重国籍を吹聴していれば問題になる恐れがあります。たとえば国籍がどうなっているかは知りませんが、加藤ローサ(イタリア人とのハーフ)やウエンツ瑛士(アメリカ人とのハーフ)は今年22歳になっていますし、来年には沢尻エリカ(フランス人とのハーフ)が22歳になります。上記のダルビッシュ選手も現在21歳でそろそろ国籍を選択しなければならない時期になっていたので、日本国籍を選択したのです。

平成19(2007)年11月1日

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