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◆第40章 連れ子の在留資格◆

みなさん、こんにちは。行政書士の高坂大樹です。国際結婚に限らず、結婚には初婚のケースと再婚のケースがありますが、再婚のケースでは前の結婚相手との間に生まれた連れ子がいることも珍しくありません。今回は国際結婚における連れ子の問題について考えます。

現在の日本の法律は、夫婦国籍独立主義および親子国籍独立主義を採用しています。これによって、外国人と国際結婚・国際養子縁組・認知したとしても、外国人が自動的に日本国籍を取得することはないという制度になっています。一方、相手が夫婦国籍同一主義および親子国籍同一主義を採用している国の人である場合は、原則として相手の国籍を取得します(その場合でも日本国籍を失うことはなく、二重国籍になります)。ちなみに、昭和25年に国籍法が改正されるまでは、日本も夫婦国籍同一主義および親子国籍同一主義を採用していました。

このように外国人配偶者本人でさえ日本国籍を取得しないのですから、当然ながら外国人配偶者の連れ子は日本国籍を取得しません。さて、外国人が日本で暮らすためには在留資格が必要になりますが、外国人配偶者の連れ子についても当然このことが問題になります。

日本人と結婚した外国人配偶者は「日本人の配偶者等」という在留資格が取得できます。しかし、外国人配偶者の連れ子は「日本人の配偶者等」は取得できません。それではどういう在留資格になるかと言うと、以下の要件を兼ね備えている外国人配偶者の連れ子には「定住者」という在留資格が与えられます。

  • 1.日本人の配偶者等の実子であること
  • 2.未成年かつ未婚の者
  • 3.親に扶養されていること

1についてはあくまで日本人の配偶者等の実子であって養子は該当しませんが、日本人の配偶者等の養子の場合でも日本人配偶者が養子にすれば、6歳未満であれば「定住者」の資格が取得できますし、6歳以上でも特段の事情があれば人道上の配慮から与えられる可能性があります。

2の未成年というのは、本国法の成年年齢の規定によって判断されるので二十歳とは限りません。未婚が条件となっているのは、結婚すれば成年に達したとみなされるからです。3は、成人していたり未成年でも独立していたりすれば、日本に来なくても本国で生活すればいいということで、在留資格は与えられません。

外国人配偶者の連れ子が、これらの要件を満たさず、在留資格が得られなければ、親子でも日本で一緒に暮らすことはできません。従って、一緒に暮らすためには別の方法を考える必要があります。
※「日本人配偶者等」の在留資格は、結婚したからといって必ず与えられるものではなく、偽装結婚が疑われる、素行の問題があるなど、何らかの事情で与えられない場合もあります。これは「定住者」の在留資格も同じです。

この他、特別なものとして特別養子縁組の場合があります。特別養子縁組は、普通の養子と異なり、実親との親族関係を消滅させる効力があり、子供の福祉のために特別の必要性がある時だけに認められるものです。特別養子になれば実子と変わらない扱いを受けるため、在留資格においても「定住者」ではなく「日本人の配偶者等」の資格が得られるようになります。ただし特別養子縁組の要件は厳しく、以下の要件を満たした上で家庭裁判所の審判が必要です。特別養子縁組の要件は以下のようなものです。

  • 養親になるには配偶者があること
  • 原則として配偶者と共同で養子縁組すること
  • 養親のどちらかが25歳以上であること
  • 養子となるものは原則として6歳未満であること
  • 原則として実親の同意があること
  • 子供の福祉のために特別の必要性があること

縁組が成立すれば、実親との親族関係が消滅するので、お互いに扶養義務や相続関係が生じなくなります。また、原則として離縁はできません。

なお、国際結婚の場合は、普通養子・特別養子を問わず渉外事件(2国以上の法律が関わっていること)となりますので、養親の本国法の養子規定と養子の本国法の保護要件の双方を満たす必要があります。すなわち、外国人配偶者の連れ子を養子にする場合は、民法だけではなく養子の本国法の保護要件をも満たす必要があり、日本人配偶者の連れ子を養子にする場合は、外国人配偶者の本国法の養子規定と民法の保護要件を満たす必要があるということです。

平成19(2007)年10月1日

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