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◆◆◆メールマガジン国際結婚◆◆◆

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◆第31章 法の適用に関する通則法◆

みなさん、こんにちは。行政書士の高坂大樹です。今回は、昨年6月21日に公布され、本年1月1日より施行された法の適用に関する通則法についてお話します。

「法の適用に関する通則法」。いかにも法律らしい、しかも名前だけではどういった内容か分からない法律ですが、この法の適用に関する通則法は、国際結婚に関しては大変重要な法律です。国際結婚に関しては国籍法や戸籍法、入管法などでももちろん触れられていますが、国際結婚そのものについて規定している法律は、法の適用に関する通則法です。

このメルマガでも何度も登場していますが、これまでは「法例」という法律があり、国際結婚や国際離婚については法例が扱っていました。しかし法例は、新しい状況に即して何度も改正されてはいるものの、百年以上前、1898年に作られた古い法律で、片仮名で文語体の法律だったので、文章は現代文に書き改められ、内容もインターネット取引のトラブルなどにも対応できるように現代化されることになりました。通常の改正には止まらない全面的な改正により、法例は失効し、代わりに登場したのがこの法の適用に関する通則法です。今後、日本と外国とにまたがる渉外事件については、法の適用に関する通則法がまず適用されることになります。

渉外事件とは、当事者の少なくとも一方が外国人(無国籍の場合もある)で、複数の国が関係してくる法律関係の事象で、外国人との商取引や契約などの商行為に関するトラブル、あるいは国際結婚や離婚、親子間関係や相続などの家族についての問題などがあります。同じ国の者同士の問題(事件)では自国の法律だけで処理できますが、国籍が異なる者との問題(渉外事件)では、それぞれの国の法律が異なっていますし、どちらの母国とも異なる第三国での取引なども行なわれます。その場合に、まず関係国のどの国の法律を適用するのかを決定しなければなりません。長い年月を掛けて形成されてきた慣習国際法も無視できないものとして機能していますが、それだけでは二国以上にまたがるトラブルや法律事象のすべてを解決するには程遠い状態にあり、紛争が生じた場合に、片方の国の法律では裁判に勝ったが、もう片方の国では逆の結果になるというようなことでは余計に問題を大きくしてしまうことにもなりかねません。そのためにどの国の法律を適用するのかを決めるのですが、このことを専門的には「準拠法を定める」と言い、ほとんどの国では渉外事件の際の準拠法を定める法律を作っていて、そういった機能を有する法律を総称して、一般的に「国際私法」と呼んでいます。

日本にもいくつかの国際私法があり、その中心となるのがこれまでは「法例」であり、改正された現在は「法の適用に関する通則法」です(国際私法としては、他に扶養義務の準拠法に関する法律や遺言の方式の準拠法に関する法律などがあり、国籍法や民法・民事訴訟法・手形法・小切手法の一部にも国際私法に関係する条文が置かれています)。

今後は国際結婚や国際離婚も渉外事件として、法律関係は法の適用に関する通則法が適用されますので、覚えておいて下さい。なお内容に関してですが、契約等については変更点がありますが、国際結婚など家族問題については、文章が現代文に書き改められただけで、ほとんど変更はありません。たとえば、国際結婚に関しては「婚姻成立ノ要件ハ各当事者ニ付キ其本国法ニ依リテ之ヲ定ム」(法例第十三条第一項)が「婚姻の成立は、各当事者につき、その本国法による」(法の適用に関する通則法第二十四条第一項)等といった具合です。

法の適用に関する通則法の詳細については、以下にリンクしておきますので、興味のある方は参照して下さい。

法の適用に関する通則法(総務省行政管理局、法令データ提供システム)

法の適用に関する通則法の概要(法務省民事局)

平成19(2007)年1月15日

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