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◆第25章 イスラム教の結婚(1)イスラム教の概要◆

みなさん、こんにちは。行政書士の高坂大樹です。今回からは、イスラム教徒の結婚を取り上げます。イランやイラク、パレスチナなどイスラム教国については、ニュースで連日のように報道されています。それではイスラム教の中身について日本人が知っているかと言えば、大抵の日本人はよく知らないのではないでしょうか。今回のメルマガでは、まずイスラム教についての簡単な説明から始めましょう。

西暦610年頃、マホメットがアラビア半島のメッカ(現在サウジアラビア)で布教を始めたのが、イスラム教の始まりです。マホメットはアラビア語ではムハンマドと言います。マホメットと言う読み方はトルコ語の表記から翻訳したもので、アラビア語ではなくトルコ語の表記を基にしています。これは、明治時代に日本にイスラム教が入ってきた時のイスラムの中心が、オスマン帝国(オスマントルコ)だったためです。

イスラム教の聖典はコーランです。神はアッラー(アラー)と呼ばれます。最近は、コーランはアラビア語の発音に近いクルアーン、そしてアッラーではなくアッラーフと表記することも多いようです。イスラム教徒はアラビア語ではムスリムと言います(女性はムスリマです)。他にも、メッカはマッカ、イスラムはイスラームと表記するのが、アラビア語に忠実とされています。コーラン以外では、マホメットの言行をまとめたハディースにも権威があります。

イスラム教はユダヤ教やキリスト教と同じく一神教で、これら三つの宗教は兄弟関係にあると言われています。コーランにはアダム、モーゼ、イエスも、アーダム、ムーサー、マルヤム(マリア)の子イーサーとして登場します。キリスト教と違うのは、イーサー(イエス)は神ではなく預言者の一人としていることです。預言者の中ではマホメットが最高の預言者で、イーサーよりも上位の存在です(マホメットも神ではありません)。ユダヤ教やキリスト教とは異なるイスラム教の特徴は、神父や牧師のような聖職者がいないことで、すべてのイスラム教徒は平等です。ニュースなどで○○師と呼ばれているのは、聖職者ではなくコーランやハディースなどを学んだ知識人や学者で、指導的立場にはありますが、信仰上は一般のイスラム教徒と平等であるそうです。

イスラム教の信仰は、六信と五行から成り立っています。六信とはイスラム教徒が信じなければいけない信仰で、神(アッラー)・天使・啓典(コーランなど)・預言者(モハメットなど)・来世・定命の六つ、五行とはイスラム教徒が行なわなければいけない行為で、信仰告白・礼拝・喜捨・断食・巡礼の五つのことです。

イスラム教徒になろうとする者は、モスク(イスラム寺院)で証人(イスラム教徒、通常は宗教指導者)の前で「アッラーのほかに神はなし」「マホメットは神の使徒なり」というニつの言葉をアラビア語で唱えます。これが五行の信仰告白です。礼拝は一日五回、メッカの方角に向かって行ないます。六信五行を行なっていればイスラム教徒と言えるのですが、文化や習慣はそれぞれの国や地域によって異なっています。たとえばサウジアラビアでは男性はターバンを巻きますが、インドネシアではターバンを巻きません。

アメリカ国勢調査局の統計によれば、現在、世界の人口は65億人を越えると推計されています。イスラム教徒の人口は12〜3億と言われていますから、世界の5人に1人がイスラム教徒ということになります。イスラム教国と言えるのは、なんと言っても中東と北アフリカのアラブ諸国が中心ですが、アジアのパキスタン、バングラデシュ、インドネシア、マレーシア、ヨーロッパでは旧ユーゴのアルバニア、南米のガイアナとスリナムなど、アラブ諸国以外にも多くのイスラム教国があります。アラブ連盟加盟国は22カ国(地域)ですが、アラブ諸国以外の国も加わっているイスラム諸国会議機構(OIC)加盟国は57カ国(地域)に上ります。

日本は世界的に見てもイスラム教徒が少なく、不法滞在者を合わせても10万人はいないと推定されます。在日外国人ではない日本人のイスラム教徒も存在し、数千人程度はいるのではないかと言われています。中村廣治郎『イスラム教入門』(岩波新書)によると、鎌倉時代や室町時代にも何度かイスラム教徒が渡来したことがあったようですが、日本人最初のイスラム教徒は、1902年にトルコで改宗した山田寅次郎だそうです。

平成18(2006)年10月15日

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