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◆第23章 国際離婚(1)◆

みなさん、こんにちは。行政書士の高坂大樹です。今回は、国際結婚したものの、何らかの理由で離婚することになった場合についてお話します。

国籍の違うカップルの結婚は国際結婚と呼ぶのはみなさんご存じでしょうが、国籍の違うカップルの離婚はどう呼ぶかご存じですか。法律関係者は専門用語で「渉外離婚」と言っていますが、渉外という言葉は法律関係者以外にはわかりにくいので、一般的には国際結婚に対して国際離婚と呼ぶことも多いようです。この文章でも国際離婚の方を使うことにします。

先日9月8日に公表された昨年の人口動態統計を見ると、平成17年の結婚総数は71万4265件で、このうち日本人と外国人との国際結婚は4万1481件で約5.8パーセント(17組中1組が国際結婚)となっています。前年の平成16年より約2000件増加しています。日本での国際結婚が増加するにつれ、国際離婚も増加しています。平成17年に国際離婚したカップルは1万5689件だそうです。国際離婚件数は国際結婚件数の37.9パーセントになりますが、この数を見て、国際結婚は文化摩擦や障害も多いからやっぱり多いんだなとお考えになるかもしれません。実は、日本人同士のカップルでは結婚が67万2784件、離婚が24万6228件で、こちらの比率は36.6パーセントなので、あまり変わらないのです。

国際結婚の場合も婚姻要件の問題や書類集めなど面倒なことが多いのですが、実は国際離婚はもっと面倒です。国際離婚に比べれば、国際結婚の手続きは比較的簡単だとさえ言えます。日本には協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚と4種類の方法があります。調停離婚、審判離婚、裁判離婚は家庭裁判所が関与しますが、最も簡便なのは協議離婚で、「離婚しましょう」「はい、そうしましょう」と当事者の意思で離婚届を提出すれば、それだけで離婚が認められます。しかし、国際的に見た場合、日本と同じように当事者の意思だけで離婚できる制度を採用している国は多くありません。裁判所や行政機関が認めて初めて離婚が成立する国も多く、離婚そのものを認めない国もあります。国際離婚が難しいのは、各国の法律、歴史、伝統、慣習、宗教などの事情があるからです。

国際離婚する場合にどの国の法律を適用するのかは、各国それぞれに違うのですが、日本では法例(法の適用に関する通則法)という法律で決められています。それによると、「夫婦の本国法が同一であるときはその法により、その法がない場合において夫婦の常居所地法が同一であるときはその法により、そのいずれの法もないときは夫婦に最も密接な関係がある地の法による。ただし、夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるときは、離婚は、日本法による」となっています。しかし、これによって日本で離婚が成立したとしても、外国人の本国で離婚が認められるどうかは別のことで、それは本国の法律の規定がどのような内容となっているかによって決まります。日本で暮らす日本人と外国人の国際結婚の場合、日本の法律が適用されるので協議離婚が可能ですが、国籍が同じ外国人が離婚する場合は本国の法律が適用されます。そのため、たとえば韓国籍の在日コリアン同士の結婚の場合は韓国の法律が適用されるので、協議離婚の場合は家庭法院(日本の家庭裁判所に当たる)での確認がなければ離婚できません。

このように国によって離婚についての法律や慣習が異なっているので、ある国では離婚が成立していても、別の国では離婚が認められないということもあり得ます。逆に、ある国の法律では結婚できていても、別の国の法律では結婚不成立ということも起こり得ます。これを跛行婚(はこうこん)と言いますが、国際結婚ではこの跛行婚の状態になってしまうことが少なくありません。たとえば、日本人と外国人の国際結婚の場合、少なくとも日本人の方が日本で暮らしていれば日本の法律が適用されますので、配偶者の国の法律がどうなっているかに関係なく、協議離婚することが可能です。これによって日本では離婚が成立しますが、しかし配偶者の国の法律が裁判離婚しか認めておらず、日本での離婚が認められなければ、跛行婚になります。この場合、配偶者の国で改めて裁判離婚しなければならないかもしれません。跛行婚のままだと、離婚が成立していない外国人配偶者は再婚したくても再婚できません。日本人は離婚が成立しているので再婚できますが、離婚した相手と同じ国の人と再婚しようとした場合に再婚できないこともあります。

平成18(2006)年9月15日

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