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◆第17章 国際結婚と名前◆

みなさん、こんにちは。行政書士の高坂大樹です。前回は日本の外国人受け入れに対する政府の政策転換についてお話しました。今回は、国際結婚した場合の名前の扱いについてお話します。

日本人同士の結婚の場合、結婚すると(婚姻届を出すと)、通常はそれまでの親の戸籍から離れて、新しく夫婦二人の戸籍が作られます。この時、日本の法律(戸籍法)は夫婦同姓の制度ですので、どちらかが氏名を変更して同じ氏を名乗ることになります。戸籍には夫の氏を名乗る場合は夫が、妻の氏を名乗る場合は妻が筆頭に記載され、次に氏名を変更した配偶者が記載されます。法改正して夫婦別姓(選択制)を求める運動なども盛んですが、現状は大多数が夫の姓を選択しています(おおよそ98パーセントと言われています)。夫婦に子供が産まれるとその子供も同じ戸籍に入りますが、子供が大きくなり結婚すると新しく戸籍が作られます。

しかし、外国人との国際結婚の場合は、夫婦が一つの戸籍に入ることはありません。外国人にはもともと戸籍がありませんし、外国人が日本人と結婚してもそれだけでは日本国籍を取得することはできないので、外国人配偶者は戸籍には載らないのです。そこで、外国人との国際結婚の場合は、新しく戸籍を作るのは日本人同士の結婚と同じですが、日本人配偶者だけの戸籍が作られます。外国人配偶者に関しては、戸籍に入るのではなく、戸籍の身分事項欄に外国人と婚姻した旨、外国人配偶者の氏名、生年月日、国籍が記載されることになります。

この日本人配偶者だけの新しい戸籍は、結婚前の氏名のままで作られます。国際結婚では、日本人同士の結婚とは異なり、結婚しただけでは氏が変更されることはありません。外国人配偶者の氏に変更したければ、戸籍法の規定により届け出る必要があります。結婚した日(婚姻届を出した日)から6ヶ月以内ならば役所に届け出るだけで変更できますが、婚姻から6ヶ月経過していると、変更するためには家庭裁判所の許可を得る必要があります。

家庭裁判所の許可は法文では「やむをえない事由」が必要となっていますが、配偶者の氏名に変更する場合は比較的スムーズに許可されます。ただし、アルファベットではなくカタカナで表記されますので、たとえばブラッド・ピットと結婚して氏をピットにするとすれば、Pitt・○○ではなくピット・○○になります。韓国朝鮮人、中国人の場合は氏名が漢字なので、たとえばチェ・ジウと結婚して氏をチェにするする場合は、チェ△△ではなく崔△△になります。ミドルネームは一般的に名とされていますので、氏としては認められません。佐藤スミスとかスミス佐藤などのような複合姓も認められる場合があります。

子が生まれると日本人配偶者の戸籍に入りますが、家庭裁判所の許可を得れば、日本人配偶者は元の氏のままで子だけが外国人配偶者の氏を名乗ることもできます。この場合、単独戸籍と言って子一人だけの戸籍が作られます。兄弟が同じ外国人配偶者の氏を名乗る場合でも、一人一人の戸籍になります。日本人配偶者が外国人配偶者の氏に変更する場合で変更前にすでに子がいる場合は、親が氏名を変更してもそれだけでは子の氏名は変更されませんので、子だけの日本人名前の戸籍が新しく作られます。そのため、家族で同じ名前を名乗りたい場合は、子についても別に届け出る必要があります。

外国人配偶者の方の氏を日本人配偶者の氏に変更できるかどうかは、外国人配偶者の出身国の法律次第です。ただ、外国人は外国人登録で通称の使用が認められていますので、本名を変えなくとも、日本人配偶者の氏を通称とするように外国人登録を変更することも可能です。

日本人同士の結婚で離婚した場合、原則として氏を変更した者は元の氏に戻って親の戸籍に入ります(すでに親が亡くなって戸籍が除かれている場合や、新戸籍を作ることを申し出た場合は、結婚前の名前で新しく戸籍が作られます。また、結婚の時に使用していた氏をその後も引き続き使用することを届け出た場合は、結婚の時の名前で新しく戸籍が作られます)。国際結婚で離婚した場合で外国人配偶者の氏に変更していた場合は、日本人同士の結婚とは異なり離婚しても元の氏には戻りません。元の日本人名前に戻したければ、戸籍法の規定により届け出る必要があります。離婚の日から3ヶ月以内ならば役所に届け出るだけで変更できますが、婚姻から3ヶ月経過していると、元の名前に戻すためには家庭裁判所の許可を得る必要があります。

平成18(2006)年6月15日

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