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◆◆◆メールマガジン国際結婚◆◆◆

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◆第15章 日本人の配偶者等◆

みなさん、こんにちは。行政書士の高坂大樹です。今回は日本人と外国人との国際結婚において最も重要なキーワードである「日本人の配偶者等」についてお話します。

「日本人の配偶者等」については、このメルマガでもたびたび取り上げていますが、在留資格の一つです。専門用語である「日本人の配偶者等」よりも、一般的には「結婚ビザ」とか「配偶者ビザ」などと言われることも多く、これなら聞いたことがあるという方も多いでしょう。日本人の配偶者等というのはなにぶん長いですし、言いにくいので、行政書士など入管手続に関係している者は、略して「日配」と呼んでいます。最近は漫画家の小栗左多里のダーリンシリーズがベストセラーになり、外国人配偶者にまつわる話が一般の人にもだいぶ知られるようになりました。
ダーリンは外国人』『ダーリンは外国人2』『ダーリンの頭ン中

単に「日本人の配偶者」ではなく「日本人の配偶者等」と「等」が付いているのは、日本人の配偶者つまり外国人の夫や妻だけではなく、日本人の子で外国籍の者や日本人の特別養子で外国籍の者が含まれているためです。配偶者と子を配偶者等と一括りにしないで在留資格「婚姻」と在留資格「子」に分類すればわかりやすいのにとも思いますが、法律上はそうなっています。「日本人の配偶者等」と似た在留資格に「永住者の配偶者等」というものがあり、こちらも等が付いていますが、これも同じことです。

日本人の子って何だろう? 日本人と違うの? と思われるかもしれません。日本国籍を持たずに外国籍を持った日本人の子というのはどういったケースかと言いますと、いくつかあります。

1番目は、日本人が移民として移住先の外国に帰化する場合や、日本人が外国人と結婚する場合に、結婚相手の国の法律の規定で、結婚するためには相手と同じ国籍を取らなければならないとされている場合です。自分の意思で外国籍を取得する場合は日本国籍から離脱することになっていますので、その結果外国人になります。親は日本人なので、外国人になった本人は「日本人の子」ということになります。外国人になれば、日本に滞在するのにビザや在留資格が必要になり、一般的には「日本人の配偶者等」の在留資格を取得します。

2番目のケースは、海外で子供を出産した場合にその国が生地主義を取っている国(たとえばアメリカ)だった場合や、国際結婚していて相手の国が血統主義により子供に国籍を与える国(たとえばイタリア)の場合です。これらの場合、子供は二重国籍になりますが、出生届を提出する際に日本国籍留保の届をしておかないと、子供は日本国籍を失ってしまいます。日本国籍を失えば、少なくともどちらか一方の親が日本人で一緒に日本で暮らす場合でも、子供は外国人としてビザや在留資格が必要になります。また、二重国籍の子供は通常22歳までにどちらかの国籍を選択しなければなりませんので、その時に外国籍を選択すれば、その時点からビザや在留資格が必要になります。

3番目のケース。昭和60年に国籍法が改正される前は、日本は父親が外国人で母親が日本人の場合は、相手の国の国籍だけを取得し日本の国籍は取得しないという父系優先の血統主義を取っていたため、改正前に生まれ、かつ時限的に設けられていた経過措置による国籍取得をしていない場合は、母親が日本人でも子供は外国人になっていますので、これも「日本人の子」ということになります。

ちなみに、日本人の子ではなく日本人の孫の場合、つまり祖父母が日本人で父母や本人(孫)が外国人、いわゆる日系二世、三世が日本に在留する場合は、「日本人の配偶者等」ではなく「定住者」という在留資格になります。

さて、日本人の配偶者つまり外国人の夫や妻に話を戻しますが、外国人がこの在留資格を取得すれば、日本での活動や就業に制限がなくなり、一般的に外国人には認められていない単純労働もできるようになりますし、通常の外国人なら5年かかるところを結婚して3年すれば帰化できるようにもなります。そのため、それを目的として、前回取り上げたように偽装結婚してこの資格を得ようとする者が多いという現状があります。入管関係の仕事をしていますと、結婚時に契約金としていくら、結婚している間は月々いくらといった相場なども洩れ聞こえてきます。

外国人と国際結婚し、結婚相手が日本人の配偶者等の資格を取るためには、入管にその結婚が本物であることを証明しなければなりませんし、真正な結婚であることを証明するためには十分な資料を準備し、入管に提出しなければなりません。ここでは必要書類は列挙しませんが、必要十分な書類が用意できないと偽装結婚ではないかと疑われる場合もありますので、ご注意下さい。

なお、外国人の方は日本人と結婚したからといって、必ずしも在留資格を「日本人の配偶者等」に変更したり、取得したりする必要はなく、就業系の資格や留学ビザのままで在留して何ら問題ありません。「日本人の配偶者等」を取っても、離婚すれば更新できませんから、結婚前の在留資格を改めて取り直す必要がありますが、その時に希望の資格が取れるとは限りません。取れない場合はオーバーステイの状態になったり、帰国しなければならなくなります。そうした様々な条件を考えて、どの在留資格にするか選んで下さい。

平成18(2006)年5月15日

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