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◆第14章 国際結婚トピックス2◆

みなさん、こんにちは。行政書士の高坂大樹です。早いものでGWに入りました。今年は9連休の会社も多いということで、GWにも何だかんだと仕事をしているフリーランスの身としてはうらやましいかぎりです。さて、前回は新聞やインターネットなどで目に付いた国際結婚関連のトピックスの中から「韓国で国際結婚が激増中」というお話をしましたが、今回はフィリピンの話題を取り上げましょう。

フィリピン人との偽装結婚が増加中?

平成18年3月22日の東京新聞等の報道によると、日本人男性とフィリピン人女性との偽装結婚が増加しているそうです。

日本人男性とフィリピン人女性がフィリピンで国際結婚する場合には、日本人男性の婚姻要件具備証明書(独身証明書)をフィリピンの役所に提出しなければなりません。この婚姻要件具備証明書は在フィリピン日本大使館が発給していますが、大使館によると、2005年度の婚姻要件具備証明書の発行件数が、前年度比で43%も増加し、約8300件と初めて8000件を超えたそうです。また、フィリピン人が観光や知人訪問の目的で来日する時に必要な短期滞在ビザの取得も、一昨年の約4万2500件から昨年は約5万7000件と大幅に増加していますが、大使館によれば、ビザの申請理由を「日本人婚約者の訪問」とするフィリピーナが多ということです。実際の結婚数のデータはまだ出ていませんが、日本人男性とフィリピン人女性との国際結婚が増加していることは推測できます。

しかし、急増している日本人男性とフィリピン人女性との国際結婚の多くが偽装結婚ではないかと疑われています。この背景には、平成17年2月15日に日本政府が興行ビザ(在留資格「興行」)についての上陸許可基準を改正したことで、昨年3月15日以降の興行ビザの取得が厳しくなっているという事情があります。これは、アメリカ国務省が、興行ビザで働くフィリピーナの実態を売春目的の人身売買であると批判したことを受けたものですが、今回の改正で興行ビザ発給の申請資格が2年以上芸能人としての活動歴があるか芸能の専門教育を受けた人に限定されたために、これまでの基準では入国できていたフィリピン人エンターテイナーの多くが日本へ入国することが難しくなりました。具体的には、在フィリピン日本大使館が昨年発給した興行ビザは4万7099件で、2004年の発給が8万5438件だったのと比べると、半数近くまで落ち込んでいます。しかも、昨年発給されたものの多くが改正前のもので、改正後に発給された数はもっと少ないだろうと考えられており、今後もこの傾向は続き、今年は1万件に達しないだろうと予想されています。

このように芸能人として興行ビザで来日するフィリピン人エンターテイナーは激減しているのですが、それと機を一にして日本人男性とフィリピン人女性との国際結婚が増加したしたために、興行ビザの規制を潜り抜けるための偽装結婚ではないかと疑われているわけです。日本人と結婚すれば「日本人の配偶者等」の在留資格(いわゆる結婚ビザ)が取得できますが、この在留資格を取得すれば日本での就業に制限がなくなります。興行ビザに関わる仕事に限らず、一般的に外国人には認められていない単純労働をすることさえ可能になります。もともと日本人男性とフィリピン人女性との結婚は多く、ここ10年ほどは中国人女性との国際結婚に次いで2番目で、平成16年で約8400件に上っているのですが、日本人男性とフィリピーナとの恋愛が昨年から突然急増したとするのは不自然ですから、難しくなった興行ビザの取得に代わり、偽装結婚して結婚ビザを取得しようとしているのではないかと考えられているわけです。

もちろん、増加した中には、恋愛関係にあった客とフィリピン人エンターテイナーが、興行ビザが取得できなくなって日本で会えなくなったため、それならばと結婚したというケースも相当数含まれているとは考えられますが、統計の不自然な急増を見ると、やはり大使館や入管が懸念しているように偽装結婚が増加しているのも間違いないでしょう。需要に対して供給が圧倒的に不足したため、偽装結婚を仲介する業者のビジネスチャンスが生まれ、偽装結婚についてこれまで以上の暴力団の関与も取り沙汰されています。

こうした状況は、真実に結婚しているカップルに対する差別や国際結婚の障壁となる新たな法規制など様々な悪影響がもたらされかねませんので、大変心配されるところではあります。

平成18(2006)年5月1日

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