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◆第10章 入国とその後の手続きについて(2)◆

みなさん、こんにちは。行政書士の高坂大樹です。前回はビザと在留資格の関係と相違についてお話しました。今回は在留資格認定証明書についてお話します。

これまで何度か書いてきましたが、日本に滞在しようとする外国人は、日本での活動内容や目的に応じた在留資格を取得する必要があります。適法な在留資格を得て日本に滞在していても、取得している在留資格の範囲外の活動を新たに行なおうとする場合は、在留資格を変更するか、資格外活動の許可を得るかしてからでなければ、違法行為となります。

前回お話ししたように、ビザには7区分あり、それと対応する在留資格は26種類あって、それぞれ活動内容や要件が細かく定められています。外国人が日本に入国するには、原則として、まず在外公館にビザの発給を申請し、入国時に到着した空港か海港の入国審査官の上陸審査を受けなければなりません。上陸許可は在留資格と在留期間を定めたうえで出されますので、この上陸許可を得ることがすなわち日本滞在当初の在留資格の取得ということになります。

ビザ免除措置国から短期滞在目的で来日する場合は、ビザなしで渡航してそのまま上陸審査を受けることもできますが、ビザ免除措置国ではない国や、ビザ免除措置国でも短期滞在以外の目的で来日する場合は、ビザが必要です。

ビザと在留資格は別のものなので、ビザを取得しているからと言って必ず日本に入国できるというわけではありませんが、ビザと対応していない在留資格は認められませんので、在留資格を取得するためには、その前提として希望の在留資格と対応しているビザを取得しておく必要があります。たとえば、日本人と国際結婚している外国人が日本人の配偶者等の在留資格を取得したい場合は、前提として日本人の配偶者等に関わる特定査証を得る必要があり、特定査証以外の短期滞在ビザなどでは日本人の配偶者等の在留資格は認められません。ビザなしや、取得しやすい短期滞在ビザで来日しておいて、その後に在留資格を変更することも、よほどのことがない限り認められません。

さて、ビザには短期滞在ビザのように比較的簡単に取得可能なものもありますが、就業ビザのように取得に時間がかかるものもあります(諸事情によって出身国によっても難易度が異なっています)。ビザの種類によって審査手続きや必要書類なども異なっていて、通常は在外公館が発給するかどうかの判断をしますが、外務省への照会や法務省との協議が必要とされる場合は、発給までに相当時間がかかることもあります。また、ビザを取得していたとしても、上陸審査で在留資格が認められないこともあります。

これでは効率が悪いということで、1990年6月に入管法が改正され、ビザの発給と上陸許可手続きの簡易化、迅速化、効率化を目的に在留資格認定証明書の制度が作られました。在留資格認定証明書は、外国に住む外国人を日本国内で雇用する場合、外国人の配偶者を日本に呼び寄せる場合などに利用されています。

短期滞在以外の目的で日本に在留しようとする外国人は、申請によってあらかじめ在留資格に該当しているか審査して、該当することを認定されれば在留資格認定証明書の交付を受けられます。在留資格認定証明書なしで申請する従来の方法は現在でも利用可能ですが、在留資格認定証明書を取得してからビザ申請する方が、確実で時間も短縮できます。

在留資格認定証明書を提示すれば、すでに事前審査を終えているものとして比較的簡単迅速にビザや上陸許可が得られます。不法滞在などの事例が増加していることから、外国人の査証手続や上陸審査が年々厳しくなってきていますが、入国前に在留資格認定証明書を取っておけばスムーズに入国できます。ただし、認定を受けていたとしても、入管(法務省)の認定と在外公館(外務省)の審査は違うものなので、100パーセントビザが下りるわけではありませんので、その点はご注意下さい。

在留資格認定証明書の交付申請は、居住予定地を管轄する入国管理局、もしくは受け入れ機関(日本語学校や研修先など)の所在地を管轄する入国管理局で行ないます。本人が申請することもできますが、本人が申請するということはすでに来日しているということなので、通常は本人に代わって代理人が申請します。代理できるのは、日本語学校や研修先など受け入れ機関の職員、または申請取次行政書士などです。16歳未満の者の場合や病気などによって自分で手続きできない場合は、両親など法定代理人も代理できます。

申請する外国人の事情によって異なりますが、交付までに1ヶ月から3ヶ月かかります。申請する場合はその期間を見込んで申請して下さい。在留資格認定証明書の有効期間は証明書が下りてから3ヶ月なので、証明書が交付されれば、代理人はすみやかに本人に郵送して下さい。本人は、ビザの発給手続や上陸審査に際して、この在留資格認定証明書を提示することになります。


▼国際結婚トピックス

2月17日に、滋賀県長浜市の幼稚園で、中国人女性が幼稚園に通う自分の子供と一緒に送り迎えをしていた園児二人を殺害するという痛ましい事件が起こりました。余りにも凶悪な事件であり、被害者のことを考えると同情すべき余地はありませんが、ただ、加害者の女性はコミュニティから孤立していたということで、国際結婚における人間関係やコミュニケーションの大切さを改めて感じさせられました。

この加害者もそうですが、結婚仲介業者の斡旋で来日して国際結婚している場合は、言葉も不自由なことが多いですし、食べ物や習慣など何もかも異なっています。祖国の家族や友人から切り離されて一人で来日するので、孤独な状況に陥りがちです。ニューカマーの外国人が日本社会にどのようにして適応して行くかというテーマは、国際化して行く日本にとって大きな課題でしょう。

国際結婚では、やはり外国人を迎えた家族の努力が重要になります。家族がしっかりした絆を作ること、家族が外国から来た新しい家族を地域社会に紹介して人間関係を持てるようにフォローすること、また、当然ながら地域社会の方も外国人をコミュニティのメンバーとして温かく迎え入れることが求められます。国際結婚における異文化コミュニケーションについては、改めて書きたいと思います。

ちなみに、滋賀県は全国でも外国人労働者の多い地域です。ただ、長浜市もそうですが、滋賀県の外国人の多数を占めるのは南米系で、中国人はマイノリティの中のマイノリティという状況に置かれていて、中国人のコミュニティが弱いという現状があるようです。日本人社会が外国人をどう受け容れていくかということも重要な課題ですが、そうした地域によって異なる在日外国人のコミュニティの現状ということも、行政はもちろん、私たち市民も認識して、外国人を含んだ地域社会の形成につなげて行かなければならないでしょう。

平成18(2006)年3月1日

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