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◆◆◆メールマガジン国際結婚◆◆◆

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◆第8章 フィリピン人との国際結婚(3)◆

みなさん、こんにちは。行政書士の高坂大樹です。前回はフィリピン人との国際結婚手続きの中でもフィリピンで結婚するケースについてお話しましたが、今回は日本での結婚手続きを取り上げます。

日本での結婚手続きは、大きく分けて(1)婚姻要件具備証明書の取得、(2)日本の役所に婚姻届の提出、(3)フィリピン大使館へ結婚の届け出という流れになります。「あれっ、結婚式が入ってないじゃないか」と思われる方もあるかもしれませんが、結婚式を省略したのは、日本の法律では結婚式を挙げるかどうかの規定はなく、当事者の自由に任されていますので、結婚式をしてから手続を始めたり、手続終了後に挙式したり、あるいは結婚式を挙げなくても構わないからです。ここはフィリピンでの結婚とは大きく異なります。ただし、日本人同士の結婚では結婚式を挙げる挙げないは全然問題はないのですが、国際結婚では結婚式を挙げていない場合、入管に偽装結婚だと疑われ、「日本人の配偶者等」の在留資格や永住権の取得に支障を来たす事も考えられます。国際結婚ではその後の生活において在留資格(ビザ)が重要な問題(前提)となるので、国際結婚の場合は何らかの挙式の形をとっておくことをお勧めします。また、結婚は人生の重要なイベントですので、大げさな儀式は行なわずに仲間内で集まるだけでも、何らかのお祝いの集まりをしておくことは結婚生活の将来を安定させることにもなりますし、思い出として意義があることでもありますから、結婚式をしておいた方がいいのではないでしょうか。

それでは、日本でフィリピン人と結婚する場合の結婚手続きについて、それぞれ順を追って説明しましょう。

(1)婚姻要件具備証明書の取得

日本で結婚するには役所に婚姻届を出し受理されることが必要です。窓口では婚姻要件を満たしているかどうかチェックされます。オーバーステイなど在留資格がなくても結婚できますが、婚姻要件を満たしていないと受理されませんので、婚姻要件具備証明書が必要になります。婚姻要件具備証明書は、東京なら六本木のフィリピン大使館、大阪なら大阪城近くのフィリピン総領事館で入手します。何らかの理由で婚姻要件具備証明書が取得できない場合は、替わりの書類を集める必要があります。

フィリピン人が用意する書類は、出生証明書(出生証明書が入手できない場合は出生記録不在証明書と洗礼証明書など)とNSO発行の独身証明書(それぞれマラカニアン大統領府とフィリピン外務省の認証を受けたものが必要です)。パスポート、外国人登録証とそれらのコピー。以前に結婚していて、現在離婚や死別している場合は、それを証明する書類。21歳未満は父母や後見人の同意書、21歳以上25歳未満は父母や後見人の助言書も必要です。日本人が用意する書類は戸籍謄本と住民票、身分証明書(パスポートか運転免許証)です。書類以外に新郎新婦それぞれの写真も必要です。

上記の書類以外に、興行ビザで来日しているエンターテイナーの場合はプロモーターあるいは雇用主の承諾書(同意書)が必要な場合があります(東京の大使館では必要なくなりましたが、大阪の総領事館で申請する場合は必要です)。エンターテイナーはプロモーターとの契約に従って来日し、興行ビザの範囲内での活動が認められているので、契約中はプロモーターや雇用主の管理責任があります。プロモーターや雇用主はタレントが働くことで商売しているわけですし、所属のタレントが入管に偽装結婚だと疑われると、それ以降のタレントの招聘が難しくなり、今後の営業に差し支えますので、簡単には結婚に同意してくれません。パスポートについてもプロモーターや雇用主が預かって(取り上げて)いる場合もあり、結婚により契約違反になると違約金などを請求されることも考えられます。日本のプロモーターだけではなく、送り出したフィリピン側のプロモーターとの問題にもなり得ます。プロモーターや雇用主と話がうまくまとまらない場合は、帰国してからフィリピンで結婚する方がいいかもしれません。

(2)日本の役所に婚姻届の提出

婚姻要件具備証明書が取得できれば、次は婚姻届の提出です。用紙は全国共通で、役所に置いてあります。婚姻届には成人の証人二人に住所と本籍を書き、署名と捺印して貰います。未成年者の場合は両親の同意書も必要ですが、父母が証人になる場合は同意書の添付を省略できます。

婚姻届の提出は1年365日24時間どこの役所にでも提出することができます。本人ではなく代理人が提出してもかまいません。一般的には夫婦のどちらかの住所地か本籍地の役所に提出することとされていますが、新婚旅行先や思い出の地の役所に提出しても受け付けて貰えます。ただし、本籍地以外の役所に提出する場合は、戸籍謄本が必要になります(本籍地の役所では、そこで確認できるので不要)。窓口が閉まっている時間、たとえば深夜でも受け付けて貰えますが、時間外窓口は預かっておくだけなので、不備があっても訂正などはできません。何も不備がなければ、提出した日付で受理したことになります。

1年365日24時間どこの役所にでも提出することができると言っても、日本人同士の結婚とは異なり、国際結婚の場合は審査が厳しく、役所によって提出書類が異なることもあるので、日本人婚約者の本籍地か住所地の役所に時間内に提出する方がいいでしょう。日本人が用意する書類は、本籍地以外の役所に提出する場合は戸籍謄本です。その他、身分証明書と印鑑も持参して下さい。フィリピン人が用意する書類は、基本的に婚姻要件具備証明書とパスポートです。何らかの理由で婚姻要件具備証明書が取得できない場合は、替わりの書類として、出生証明書、独身証明書、前婚解消証明書、申述書などが必要になりますので、提出する役所の窓口で必要な書類を確認して下さい。母国語の書類は訳文も必要です。外国人登録原票記載事項証明書の提出ないし外国人登録証明書の提示を求める役所もあります。

婚姻届が受理されると婚姻が成立し、役所は婚姻届受理証明書を発行してくれます。婚姻届受理証明書は次のフィリピン大使館への届け出に必要になります。

(3)フィリピン大使館へ結婚の届け出

婚姻届が受理されれば結婚は成立しますが、フィリピンにも結婚したことを報告しなければなりません。必要書類は婚姻受理証明書、結婚後の戸籍謄本とその訳文(英訳)などです。フィリピン大使館(総領事館)でご確認下さい。大使館に届け出ると、婚姻証明書が入手できるようになります。結婚によってフィリピン人配偶者の姓が変わった場合は、結婚の届け出と同時にパスポートの記載事項の変更も合わせて申請しておくといいでしょう。

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日本でフィリピン人と結婚するという場合、興行ビザで来日しているエンターテイナーのフィリピーナと日本人男性との出会いが結婚に発展するというのが最も一般的なケースです。ただ、昨年からフィリピン人に対する興行ビザの取得が厳しくなり、新たに来日するフィリピーナの数は減少しているようです。フィリピン人との結婚数は減ることはないかもしれませんが、日本での結婚は今後減少し、フィリピンで結婚するカップルが増えて行くと考えられます。


▼国際結婚トピックス

平成18年1月22日の京都新聞等によると、フィリピン滞在中に所持金を使い果たし、大使館に援けてもらった日本人が年間120人以上いるそうです。2004年は過去最多の185人、昨年も179人いたとのこと。年齢は40代〜50歳代半ば、そのほとんどがフィリピンパブなどで知り合ったフィリピーナを追いかけてフィリピンに来て、数年に渡って貢いだ結果、すっからかんの無一文になってしまうパターン。大使館員曰く、この種のケースは「世界の在外公館中、フィリピンが最も多いはず」。大使館に帰国費用を立て替えて貰って帰国し、日本でお金を貯めてから再びフィリピンに戻ってくるリピーターもいるとか。


▼映画の中の国際結婚 第3回「ルビー・モレノの主演作」

三回にわたってフィリピン人との国際結婚について解説してきましたが、このコーナーでは日本で最も有名なフィリピン人俳優ルビー・モレノの主演作を2作紹介しておきましょう。

あふれる熱い涙
  • 製作1992年、日本
  • 監督田代廣孝
  • 出演ルビー・モレノ、佐野史郎、戸川純、鈴木正幸

嫁不足に悩む岩手の農村に嫁いだ日比混血の女性が、寡黙で感情を表さない夫との生活に適応できず、フィリピンに帰る旅費を稼ぐために、東京に出て中国人の経営する中華料理店で働きます。彼女の父親は東南アジアの環境を破壊している日本企業の役員で、娘に対して酷い扱いをするという設定です。

月はどっちに出ている
  • 製作1993年、日本
  • 監督崔洋一
  • 出演岸谷五朗、ルビー・モレノ、絵沢萠子、小木茂光

多くの外国人が生活している新宿を舞台に、在日朝鮮人のタクシー運転手と飲み屋で働くフィリピン人ホステスとの恋愛を描いた作品です。原作は在日コリアン作家梁石日の『タクシー狂躁曲』で、同じく在日コリアンの崔洋一監督が撮り、高い評価を受けた作品です。

平成18(2006)年2月1日

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