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◆◆◆メールマガジン国際結婚◆◆◆

複雑な法律手続きから、文化摩擦、生活設計、結婚生活の悩みまで、国際結婚に関するあらゆる情報をお届けします。

◆第7章 フィリピン人との国際結婚(2)◆

みなさん、こんにちは。行政書士の高坂大樹です。今回はフィリピン人との国際結婚の第2回です。

日本人とフィリピン人が結婚する場合、最初にどこの国で結婚するかによって手続きが変わってきます。具体的には、フィリピン国内で手続きするか、日本国内で手続きするか、それとも日本・フィリピン以外の第三国で手続きするか、ということです。このうち今回はフィリピンでの結婚を取り上げ、次回に日本での結婚を取り上げます。

※日本・フィリピン以外の第三国で結婚する場合とは、たとえば両者ともアメリカなど日本・フィリピン以外の国に就職や留学している途中で出会い、その国で結婚する場合、あるいはオーストラリアなどに新婚旅行に行き、そこで結婚する場合などのケースが考えられます。この場合は第三国の法律に従って結婚手続きを行ないますが、特別なケースなのでこのメルマガでは取り上げません。日本人とフィリピン人が第三国で結婚する場合の手続きをお知りになりたい方は、具体的なシチュエーションをお書きになってメールでご質問下さい。

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日本人とフィリピン人の結婚の手続きの話に入る前に、フィリピンでの結婚に関係する役所について簡単に説明して置きます。

まず日本大使館ですが、フィリピンの首都メトロ・マニラのパサイ市にあり、総領事館も同じ場所に置かれています。この他、セブ島のセブとミンダナオ島のダバオに出張駐在官事務所が置かれていて、それぞれ領事業務を行なっています。日本人の婚姻要件具備証明書やフィリピン人結婚相手のビザなどはこれらの役所で取得します。
在フィリピン日本国大使館のサイト

次に、フィリピン政府及び地方自治体の役所。

フィリピン国民の出生や婚姻、死亡に関する事実を記録し保管している政府機関にNSO(National Statistics Office国家統計局)があります。所在地はメトロ・マニラのケソン市です。NSOではフィリピン人婚約者の出生証明書や独身証明書などを入手します。
NSOのサイト

日本の市町村役場に当たるのがシティホールです。フィリピンには日本の都道府県に当たる州が79と、政令指定都市に当たる州から独立した高度都市化市と独立市があり、州の下部組織として市と町があります。シティホールは市や町の役所です。出生証明書はNSOだけでなくシティホールでも発行していますが、シティホール発行のものはNSO発行のものと比べると信頼性が低いとされていて、NSOの認証を経なければなりません。シティホールには地方身分登録官事務所があります。フィリピンで結婚する場合と日本で結婚する場合の一番大きな違いは、挙式に先立って婚姻許可証の取得が必要なことですが、この婚姻許可証は地方身分登録官事務所で入手します。

市と町の下にはバランガイがあります。バランガイはフィリピンの行政組織の最小単位で、4万以上あり、それぞれ数百〜数千世帯で構成されています。自治機能を持っていて、日本には該当するものがありません。バランガイ事務所は、30歳以上の人が結婚する場合に必要なバランガイ証明書(独身証明書)を発行しています。独身証明書も出生証明書と同じくNSO発行の書類の方が信頼性が高く、婚姻要件具備証明書の申請で添付する場合はNSO発行の独身証明書を添付して下さい。

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さて、フィリピンでの結婚手続きは、大きく分けて(1)婚姻要件具備証明書の取得、(2)婚姻許可証の取得、(3)挙式、(4)日本の役所に婚姻届の提出という流れになります。それぞれ順を追って説明しましょう。

(1)婚姻要件具備証明書の取得

フィリピンで結婚する場合は、挙式を行なう前に婚姻許可証を取得する必要がありますが、フィリピン人と日本人との国際結婚で婚姻許可証を申請するには婚姻要件具備証明書の添付が必要なので、最初に婚姻要件具備証明書を用意します。婚姻要件具備証明書は、在フィリピン日本大使館(マニラ総領事館あるいはセブまたはダバオの駐在事務所)が発行しています。日本人本人が大使館に出向き、備え付けの申請書に必要事項を記入して、必要書類と一緒に提出します。

日本人が用意する書類は戸籍謄(抄)本とパスポート。戸籍謄(抄)本は発行後3ヶ月以内の最新のもので、パスポートは有効期間が滞在日数プラス6ヶ月以上残っているもの。未成年の場合は両親の婚姻同意書。婚姻歴がある場合は、婚姻解消(死別または離婚)の事実を証明する書類が必要です。

フィリピン人婚約相手が用意する書類は出生証明書ですが、出生証明書が入手できない場合は出生記録不在証明書と洗礼証明書でこれに代えます。出生証明書の記載が不鮮明な場合は、有効な旅券または洗礼証明書を合わせて提出します。30歳以上の場合は独身証明書も必要です。

婚姻要件具備証明書は、申請した日の次の開館日の午後2時以降に受け取ることができます。婚姻要件具備証明書は、婚姻許可証の取得だけではなく、婚姻届やビザの申請の際にもコピーが必要になりますので、何枚かコピーしておいて下さい。

(2)婚姻許可証の取得

婚姻許可証の申請は、フィリピン人同士の結婚ならば、どちらか一方が6ヶ月以上住んでいる、あるいは直近に6ヶ月以上住んでいた市町村の地方身分登録官に申請しますが、日本人とフィリピン人の国際結婚の場合は、フィリピン人婚約者が6ヶ月以上住んでいる、あるいは直近に6ヶ月以上住んでいた市町村の地方身分登録官に申請することになるでしょう。

日本人が用意する書類は婚姻要件具備証明書とパスポート。婚姻要件具備証明書には有効期間があり、普通3ヶ月以内とされていますが、シティホールによって異なる場合がありますので、確認が必要です。このほか印鑑や顔写真が必要な場合もあります。

フィリピン人が用意する書類は出生証明書(出生証明書が入手できない場合は出生記録不在証明書と洗礼証明書など)です。これ以外に21歳未満は父母や後見人の同意書、21歳以上25歳未満は父母や後見人に助言を求めた旨の宣誓供述書、25歳未満は婚姻カウンセリング証明書、婚姻歴がある場合は前婚解消証明書が必要です。

必要書類を揃えて申請すると、婚姻申請者の名前や年齢、国籍などが10日間公示(婚姻告知)され、特に異議や問題はがなければ婚姻許可証が発行されます。シティホールによっては婚前セミナーの受講を婚姻許可証発行の条件としているところもありますので、詳細については事前にお問い合わせ下さい。婚姻許可証や婚姻許可証の申請書は、この後コピーが必要になりますので、何枚かコピーしておいて下さい。

(3)挙式

婚姻許可証を取得すれば次は挙式です。婚姻許可証の有効期間は発行日から120日間なので、その期間中に挙式して下さい。有効期間内に使用しない場合は自動的に失効します。フィリピンでは、日本と異なり、挙式が婚姻の必須条件となっています。挙式は、挙式をつかさどる資格や権限が認められている婚姻挙行担当官(神父・判事・市町村長など)と成人2名以上の証人の前で婚姻の宣誓を行ない、結婚当事者双方と証人が婚姻証明書に署名し、婚姻挙行担当官が認証することによって婚姻が成立します。挙式と言っても必ずしも教会などで盛大に行なう必要はなく、担当官と当事者、証人だけで行なっても構いませんが、挙式そのものは必ず挙げなければなりません。教会で結婚式を挙げる場合は、許可の取得(カトリック信者以外)や結婚セミナーへの出席が必要になる場合があります。

婚姻後、15日以内に婚姻挙行担当官が婚姻証明書を挙行地のシティホールに送付し、そこで登録されます。登録されると、婚姻届に必要な婚姻証明書謄本が入手可能になります。婚姻証明書謄本は、後々ビザの取得などで必要となりますので、多めに入手しておいて下さい。

(4)日本の役所への婚姻届の提出

挙式と登録により婚姻は正式に成立し、この婚姻の効力はフィリピンだけでなく日本でも有効となります。ただし、外国で結婚した場合は、婚姻後3ヶ月以内に日本の役所に婚姻届を出すこととされていますので、お忘れなく。正当な理由がなく期間内に届け出なかった場合は、3万円以下の過料に処せられることになっています。過料に処せられないまでも、届け出をしないと戸籍に婚姻の事実が反映されませんので、配偶者のビザ取得、子供の戸籍等において不利になる場合がありますので、必ず届け出て下さい。

届け出には大使館(マニラ総領事館あるいはセブまたはダバオの駐在事務所)に提出する方法と直接日本の役所に提出する方法があります。

大使館に提出する場合は、大使館備え付けの届出書に必要事項を記入して、必要書類と一緒に提出します。この時、パスポート等身分を証明する書類の提示が必要です。必要書類は、届出書2通、戸籍謄(抄)本2通、フィリピン人の配偶者の出生証明書とその日本語訳文各2通、婚姻証明書謄本とその日本語訳文各2通、婚姻要件具備証明書の写し1通、婚姻証明書と婚姻証明書申請書の写し各1通です。出生証明書と婚姻証明書謄本はNSOの認証があるもので、その日本語訳文は本人作成で構いません。届出書、戸籍謄(抄)本、出生証明書、婚姻証明書謄本が各2通なのは総領事館の分と日本の役所に送られる分です。これまでの本籍地と異なる場所に新しく本籍地を設ける場合は、現本籍地と新本籍地の両方の役所に提出するので各3通必要になります。フィリピン人配偶者の出生証明書が入手できない場合は、出生記録不在証明書と洗礼証明書と国籍証明書(それぞれの訳文)が必要になります。戸籍に婚姻の事実が反映されるまで2ヶ月ほどかかりますので、日本へのビザの取得などで急いでいる場合は、直接日本の市区町村役場に届け出て下さい。

直接日本に提出する場合は、本人もしくは代理人が窓口に届け出ます。役場に郵送して行なうこともできますが、訂正が必要な場合にその場で訂正できませんので、誤記のないように記入して下さい。すでに婚姻は成立しているので、婚姻届書への証人の署名等は不要です。婚姻届書以外に必要な書類については役所によって異なっていますので、役所にお問い合わせ下さい。必要書類は役所によって異なっていますが、一般的に戸籍謄(抄)本(本籍地以外の役所に届け出る場合)、婚姻証明書謄本とその日本語訳文(本人作成可、訳者の署名押印が必要)は必要です。なお、婚姻証明書については総領事館の認証が必要な場合があります。これ以外にフィリピン人配偶者の国籍証明書とその日本語訳文(本人作成可、訳者の署名押印が必要)が必要になることも多いでしょう。

平成18(2006)年1月15日

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