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◆◆◆メールマガジン国際結婚◆◆◆

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◆第4章 婚姻要件具備証明書について◆

みなさん、こんにちは。行政書士の高坂大樹です。前回は婚姻要件における一方的要件と双方的要件についてお話しました。今回は婚姻要件具備証明書について解説します。

日本では、結婚する時に役所に婚姻届を提出します。婚姻届を提出し、それが受理されてはじめて婚姻(法律婚)が成立します。結婚式を挙げたとしても、婚姻届を出さなければ正式な婚姻とは認められません。ここで問題となるのは、婚姻届を出したからと言って、必ず受理されるわけではないということです。結婚する二人が婚姻要件を備えていなければ役所は婚姻届を受理しませんし、役所が婚姻届を受理してくれなければ婚姻は成立しません。つまり、役所に婚姻届を受理してもらうためには、当事者が婚姻要件を備えていること、そしてそれを証明できることが必要です。

外国人が日本で結婚する場合、結婚相手が日本人ならば、日本の役所に婚姻届を出す必要があります。外国人同士で結婚する場合ならば、外国の方式で結婚できるので必ずしも婚姻届を出す必要はありませんが、日本式に役所に届け出ることもできます。結婚相手が日本人でも外国人同士の結婚でも、役所に届け出る場合は、そこで婚姻要件が備わっているかどうかが確認されます。外国人の場合は本人の出身国の婚姻要件が適用されますので、本国の法律で定める婚姻要件とその婚姻要件を備えていることを証明するために、婚姻要件具備証明書を提出します。外国人が日本の役所に婚姻届を出す場合は、原則として婚姻要件具備証明書が必要です。

婚姻要件具備証明書は駐日大使館(領事館)で発行しています。ただし、取り扱いが各国で異なっていて、婚姻要件具備証明書を発行していない国もありますし、書類を発行していても日本政府がその書類を婚姻要件具備証明書として認めていない場合もあります。国によっては、駐日領事等の前で行なう宣誓書(宣誓供述書=Affidavit)を提出することで、婚姻要件具備証明書の代わりになる場合もあります。婚姻要件具備証明書を発行しているかどうか、また申請に必要な書類などについては、それぞれの国の駐日大使館(領事館)にお問い合わせ下さい。

婚姻要件具備証明書を発行していない国の場合も、婚姻要件を備えていることを何らかの書類で証明しなければ、婚姻届は受理されません。婚姻要件具備証明書を発行していない国の場合は、婚姻要件についての本国の法律の写し(出典を明記し訳文を添える)、婚姻要件具備証明書が入手できないことおよび自分が婚姻要件を備えていることを述べた申述書、国籍や年齢などについての証明書(出生証明書・独身証明書・パスポートの写しなどとその訳文)などを提出することになります。どの国が婚姻要件具備証明書を発行しているか、発行していない場合にどのような書類を提出すればよいかは、婚姻届を提出する役所に問い合わせれば教えてくれます。

婚姻要件具備証明書が得られず、その代わりとなる書類を提出する場合、役所は婚姻届をすぐに受理せず、法務省に受理の是非を問い合わせます。これを受理伺いと言い、問題がなければ受理されますが、その場合でも受理伺いを立ててから受理されるまでには数ヶ月かかります。

結婚する時に婚姻要件を確認するのは、日本だけではなく、世界共通です。日本人が海外でその国の方式で結婚する場合も、日本国が定めている婚姻要件が備わっているかどうかを証明しなければなりません。何を以て婚姻要件を証明するかは結婚場所の国の法律で定められていますが、日本は婚姻要件具備証明書を発行していますので、多くの国では日本の婚姻要件具備証明書を婚姻要件を証明する書類と認めています。

日本人の婚姻要件具備証明書は、本籍地の市区町村役場、あるいは戸籍事務を取り扱う法務局(地方法務局および支局)が発行しています。申請には、戸籍謄(抄)本、身分証明書(運転免許証・パスポートなど)、認印が必要です。本籍地の市区町村役場では、戸籍謄(抄)本の提出は不要です。多くの場合、外務省の認証と在日大使館(領事館)の認証が必要とされます。

婚姻要件具備証明書には、結婚相手の氏名・性別・生年月日・国籍も記載されます。間違えた場合は訂正できず、もう一度請求することになりますので、証明書交付請求書の記載に誤りのないようにしましょう。なお、市区町村役場で発行された婚姻要件具備証明書と法務局(地方法務局および支局)で発行された婚姻要件具備証明書とでは効力の違いはありませんが、中国など法務局(地方法務局および支局)で発行された婚姻要件具備証明書しか認めていない国もありますので、注意して下さい。離婚歴がある場合は、国によって婚姻要件具備証明書だけではなく、離婚証明書が必要な場合もあります。

また、日本から持って行かなくても、婚姻要件具備証明書は日本大使館等の在外公館でも発行しています。海外で暮らしている時に結婚が決まった場合は、在外公館に申請すればいいでしょう。この場合も戸籍謄(抄)本は必要なので、日本から取り寄せて下さい。

日本人が日本で結婚する場合は、婚姻要件具備証明書は必要ありません。婚姻適齢、重婚の禁止、再婚禁止期間中の結婚の禁止、近親婚の禁止、直系姻族間の結婚の禁止、養子と養父母との結婚の禁止、未成年者の婚姻については父母の同意を必要とする、というのが日本人の婚姻要件ですが、戸籍謄(抄)本を見れば年齢をはじめすべて分かるので、役所は戸籍謄(抄)本によって婚姻要件を確認することになっているからです。結婚場所が海外であっても、日本人が日本の方式で結婚する場合は、在外公館が戸籍謄(抄)本を確認することになるので、婚姻要件具備証明書は不要です。実は、日本人が本籍地以外(海外を含む)の役所に婚姻届を出す場合に戸籍謄(抄)本を提出するのは、戸籍謄(抄)本を婚姻要件具備証明書として提出していると言っていいわけです。本籍地では提出の必要がないのは、その役所で直接戸籍が調べられるからです。


▼平成16年の国際結婚のデータ

10月7日、厚生労働省のウェブサイト上に「平成16年人口動態統計(確定数)の概況」がアップされました。そのデータを挙げて、少しコメントを付します。

平成16年の結婚に関するデータ
  • 総数 720417組
  • 総数のうち、夫妻とも日本人 680906組
  • 総数のうち、夫妻の一方が外国人 39511組
  • 夫妻の一方が外国人のうち、妻が外国人 30907組
  • 夫妻の一方が外国人のうち、夫が外国人 8604組

※国際結婚の件数は平成13年に次いで過去2番目、総数に占める比率は5.5%で過去最高です。これは約18組に1組が国際結婚という計算です。

日本人の国際結婚の配偶者の出身国の順位
  • 妻が外国人の場合 (1)中国、(2)フィリピン、(3)韓国・朝鮮
  • 夫が外国人の場合 (1)韓国・朝鮮、(2)米国、(3)中国

※この順位は5年間変動がありません。韓国・朝鮮人との結婚には、在日コリアンとの結婚を含みます。このデータからは、中国・フィリピンから花嫁を迎える日本男性が多いことが分かります。妻が外国人の場合の配偶者の出身国上位3国は、順位は違いますが、女性の外国人登録者数の上位3国と同じですので、それを反映していると言えるでしょう。また、日本女性の場合はアジアの男性だけではなくアメリカ人男性と結婚するケースが多いことが分かります。外国人登録をしているアメリカ人男性は3位の中国の7分の1程度の人数ですが、日本人女性との結婚数は中国を上回るほど多いので、日本人女性が国際結婚の相手にアメリカ人を選ぶ率が高いことが読み取れます。

以上、「夫妻の国籍別にみた婚姻件数の年次推移」より

日本における外国人同士の結婚
  • 総数 3722組
  • 夫の国籍 (1)韓国・朝鮮、(2)ブラジル、(3)中国
  • 妻の国籍 (1)韓国・朝鮮、(2)ブラジル、(3)米国
海外在住の日本人の結婚
  • 総数 10842組

以上、「日本における外国人の人口動態・外国における日本人の人口動態」より

海外在住の日本人の結婚のうち、日本人同士で結婚した数が、平成16年の人口動態調査のなかの「外国における日本人」第2表に掲載されています。

海外在住の日本人の結婚のうち、日本人同士で結婚した数
  • 夫妻とも日本人 5528組
  • 夫妻の一方が外国人 5314組

※海外在住の日本人の結婚の総数は10842組ですから、海外在住の日本人の結婚は約半数が国際結婚であることが分かります。

以上、「外国における日本人」第2表「平均婚姻年齢、初婚・再婚者数、夫‐妻別〜平成16年に結婚生活に入り届け出たもの〜」より

もう一つ、民間のワタベウェディングが6月7日に発表した2004年の海外挙式動向調査のデータがあるので、これも見ておきましょう。

平成16年に海外で挙式した日本人
  • 総数 43704組

※これは平成16年の結婚総数における6.1%に当たります。9.11事件後、海外挙式は減少していましたが、現在、回復傾向にあるそうです。

挙式場所の順位
  • (1)ハワイ
  • (2)ミクロネシア(サイパン、グアムなど)
  • (3)オセアニア(オーストラリアなど)

以上、ワタベウェディング株式会社「2004年海外挙式動向調査」より

平成17(2005)年12月1日

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