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◆第2章 婚姻要件について◆

みなさん、こんにちは。行政書士の高坂大樹です。今回から何回かにわたって婚姻要件について解説して行きたいと思います。

結婚のことを、民法や戸籍法では「婚姻」と言います。結婚と婚姻はほぼ同義なのですが、婚姻は法律婚(法律上の正式な結婚)のみを指し、事実婚(内縁関係)は含みません。それに対して、結婚式を挙げても届出をしていないカップルもいるように、結婚という言葉はもともと事実婚も含んでいました。しかし、事実婚については内縁や同棲という言葉を使用し、法律婚(婚姻)については結婚という言葉を使用するのが現在では一般的です。婚姻は日常的な場面ではほとんど使用されません。たとえば、婚姻式、恋愛婚姻、国際婚姻、婚姻詐欺などとは言わないことから、それはわかります。しかし、役所に提出する場合は「結婚届」ではなく「婚姻届」であるように、法律用語としては婚姻という言葉が使われています。

婚姻を定義すれば、法律上の正式な結婚として国が認めるもの、ということになります。法律上ということは、結婚が成立した場合は、法律上の効力が発生し、お互いに権利や義務の関係が生じてくるということです。法律婚は事実婚とは異なり、当事者が自分たちの自由に婚姻することはできず、法律で定められたいくつかの条件が整っていなければ婚姻を有効に成立させることはできません。

ちなみに事実婚のうち、内縁と同棲は婚姻意思(結婚する気があるかどうか)によって区別されています。内縁は、実質的には夫婦関係でも、婚姻要件の一部が欠けているなどの理由で届出をしていないために法律上の婚姻とは認められていない関係を指します。内縁は婚姻に準じる準婚として内縁の配偶者には法律上一定の効力が与えられています。それに対して同棲は、恋愛関係にある男女が一緒に暮らすことです。さらに付け加えますと、一緒に暮らしていても恋愛関係になければ、同居ということになります。

婚姻を有効に成立させるための条件、これを婚姻要件と呼びます。婚姻要件を満たしていなければ正式な婚姻とは認めてもらえず、たとえば配偶者が亡くなった時に遺産を相続する権利がありません。言うまでもなく、個人の関係としては愛し合っていればそれで充分とも言えますが、正式な婚姻と認められなければ、法的な権利を得られず、法律の保護を受けられない場合があるという不利益がある点は押さえておいて下さい。

婚姻要件は、世界各国それぞれの法律や慣習において決められていて、日本の場合は民法で定められています。婚姻適齢(何歳になれば結婚できるか)、重婚の禁止、再婚禁止期間(待婚期間)中の結婚の禁止、近親婚(血のつながりが濃い者同士の結婚)の禁止、直系姻族間(父母の配偶者や子の配偶者)の結婚の禁止、養子と養父母との結婚の禁止、未成年者の婚姻については父母の同意を必要とする……以上の7要件があり、それを充たした上で形式的に婚姻の方式に従うこと(つまり役所へ届け出し受理されること)と定められています。

婚姻要件は国により違いがあります。婚姻適齢の年齢、再婚禁止期間の日数、近親婚の範囲などは、法律や慣習によって違いますし、イスラム圏のように一夫多妻制の国や、少数ですが一妻多夫制の国もあります。お互いに同じ宗教を信じていることが必要な国や、精神的・肉体的障害の有無が要件とされている国もあります。

ところで、同じ国籍の者同士が結婚する場合は自国の法律に従えばいいのですが、国籍が異なる者の結婚、たとえば日本人と外国人が結婚する国際結婚の場合の婚姻要件は、どちらの国の法律に従えばいいのでしょうか。原則として言えば、日本人は日本の、アメリカ人はアメリカの、中国人は中国のという具合に、当事者それぞれの国の婚姻要件が適用されることになっています。

当事者の少なくとも一方が外国人か無国籍である場合や、外国での取引・契約のような複数の国が関係してくる法律関係を、法律の世界では「渉外事件」と言います。この渉外事件を扱うに当たっては、どの(どちらの)国の法律を適用するかをまず決定しなければなりません。紛争が生じた場合に、片方の国の法律では裁判に勝ったが、もう片方の国では負けたということになると、余計に問題が大きくなり混乱するからです。そのため、ほとんどの国では渉外事件に適用する法律を定めた法律を作っています。これを一般的に「国際私法」と呼びます。私たち国際法務に携わる行政書士は、この国際私法に通じていなければ仕事ができないわけです。

日本にもいくつかの国際私法があり、その中心となるのが法例です。法令(法律と命令)という似た言葉があり、また一般的に法律の適用範囲などの通則を法例と呼ぶので紛らわしいのですが、憲法・民法・刑法などと同じく、これは「法例」という名称の法律です。国際結婚も渉外事件であり、その法律関係は法例に規定されています。法例によると、日本で婚姻が有効と認められるためには、以下のような条件が必要です。

法例第十三条

婚姻成立ノ要件ハ各当事者ニ付キ其本国法ニ依リテ之ヲ定ム

2 婚姻ノ方式ハ婚姻挙行地ノ法律ニ依ル

3 当事者ノ一方ノ本国法ニ依リタル方式ハ前項ノ規定ニ拘ハラズ之ヲ有効トス但日本ニ於テ婚姻ヲ挙行シタル場合ニ於テ当事者ノ一方ガ日本人ナルトキハ此限ニ在ラズ

条文について少し解説しましょう。

「婚姻成立ノ要件ハ各当事者ニ付キ其本国法ニ依リテ之ヲ定ム」とは、婚姻要件は当事者それぞれに自国の婚姻要件が適用されるということです。

「婚姻ノ方式ハ婚姻挙行地ノ法律ニ依ル」とは、たとえば韓国人とアメリカ人が日本で結婚する場合に、婚姻挙行地である日本の方式で手続きするということです。婚姻の方式とは、儀式・届出・公示などのことで、国によって様々な方式があり、その国の法律や慣習で規定されています。日本の方式ならば、役所に婚姻の届出をして受理されることです。なお、日本人同士の結婚であっても、外国で婚姻手続きをする場合は渉外事件として法例が適用されるので、海外で結婚した日本人が婚姻挙行地の方式で手続きをすれば、日本の法律でも有効と認められます。たとえばオーストラリアで日本人が結婚する場合、結婚式司祭の立会いで結婚式を上げる必要があり、それだけではなく結婚する1ヶ月前までに結婚式司祭に結婚届を提出しておく必要があります。

「当事者ノ一方ノ本国法ニ依リタル方式ハ前項ノ規定ニ拘ハラズ之ヲ有効トス」とは、たとえば韓国人とアメリカ人が日本で結婚する場合に、日本の方式でなくても韓国かアメリカの方式で手続きすれば有効な婚姻と認められるということです。同様に、日本人が海外で結婚する場合なら、日本の方式に従って役所に届出(大使館等に、または日本へ郵送で)すれば正式な婚姻と認められます。ただし、第十三条第3項の但し書き(但日本ニ於テ……)にあるように、日本人が日本で外国人と結婚する場合は、その外国人の母国の方式に則って(たとえば教会で)結婚したとしても正式な婚姻とは認められず、原則通り日本の方式に則って役所に届け出るべきとされています。

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結婚において婚姻要件を具備していないと正式な婚姻とは認められず、配偶者が亡くなった時に遺産を相続する権利がないことはすでに述べましたが、国際結婚では、婚姻要件を具備していないと配偶者ビザ(「日本人の配偶者等」の在留資格)が得られませんし、子供の法律上の身分が不安定になり、親と同じ国籍が取得できないということも起こり得ます。こうした不利益があるので、国際結婚においても婚姻要件をきちんと備えておくことは、大変重要です。

平成17(2005)年11月1日

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