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◆◆◆メールマガジン国際結婚◆◆◆

複雑な法律手続きから、文化摩擦、生活設計、結婚生活の悩みまで、国際結婚に関するあらゆる情報をお届けします。

◆第1章 国際結婚と宗教◆

みなさん、こんにちは。行政書士の高坂大樹です。今回のメールマガジン国際結婚は、国際結婚における国籍、人種、宗教の問題、特に宗教について考えたいと思います。

日本で国際結婚と言う場合には、単純に国籍の違う者同士の結婚と考えていますが、国際結婚を英語にすれば、mixed marriageとinternational marriageの二種類があり、これらは意味が違います。

international marriageは日本人が考える国際結婚のイメージに近いのですが、mixed marriageの方はそれとは意味が異なります。日本語に訳し直せば「雑婚」。国際結婚と訳す場合もありますが、原義に近いのは雑婚です。

雑婚は日本語の国際結婚のニュアンスとは異なっていて、国籍はむしろあまり関係なく、異人種や異教徒の間の結婚を意味します。異人種間の結婚という場合には白人と有色人種の結婚を指し、異教徒間の結婚とはキリスト教徒とそれ以外の結婚を指しました。これに貴族と庶民のような身分の違いがある結婚も雑婚に加えられるかもしれません。

このように、mixed marriageという言葉には、白人のキリスト教徒が劣った人種・宗教・身分の人間と結婚するというニュアンスがあったのです。現在の欧米社会では人種差別的な面はほとんど見られなくなりましたが、宗教の違いは依然として結婚において大きな問題になることが少なくありません。

宗教の違いが結婚において問題になるのは、キリスト教に限らず、全世界的に言えることです。多くの日本人は、国際結婚を国籍の違いだけとして捉えます。もし問題にするとしても、文化や慣習の違いどまりでしょう。これは、日本人が宗教を重視していない、と言うより全く意識していないからですが、世界の常識はそれとは違います。

日本は宗教について寛容と言おうか、無頓着と言おうか、八百万の神も仏様もイエス様も区別なく信じているところがありますが、外国では一般的に宗教を厳格に取り扱います。結婚や離婚についても、宗教が密接に関わってきます。結婚式も教会などで行なうことが多いですし、そうでない場合も、キリスト教の神父や牧師だけではなく、仏教やイスラム教の聖職者が関与するケースが多いのです。

カトリックのように、結婚は神の前で誓いを立てた一生の契りであるとして、離婚を認めない教派もあります(最近は、結婚の事実を存在しなかったものとする婚姻無効宣言によって、実質的には離婚が行なわれるようになっていますが)。イタリアで離婚が法的に認められたのは1970年のことですし、アジアのカトリック国フィリピンでは今でも法律上は離婚できません。

宗教が強く生活に結びついている社会では、異教徒との結婚は歓迎されないことも多く、全く認めていない宗教もあります。そういう宗教に属する人と結婚したい場合は、改宗しなければなりません。たとえば、日本人がイスラム教徒と結婚する場合は、イスラム教に改宗しなければ結婚できません。改宗しなくても、イスラム教徒と同一の絶対者を信じるキリスト教徒かユダヤ教徒の女性(男性はダメ)なら、イスラム教徒の男性と結婚できるとされていますが、実際には積極的に賛成されるわけではありません。異教徒同士のまま結婚した場合、生まれた子供の宗教をどうするかという問題もあります。

日本人は宗教に対して強い意識を持たないため、結婚のために改宗することにもハードルが低いかもしれませんが、厳格な宗教に改宗するということはそれなりに厳しい戒律を守らなければならなくなるということです。異教徒との結婚が歓迎されない理由には、本来の信仰者ではなく結婚のために改宗した人では、たとえ改宗したとしても厳しい戒律を守れないと考えられているということもあるでしょう。

このように、現在でも国際結婚には国籍や文化・慣習の違いだけではなく、宗教が大きな比重を占めています。結婚は、近代的な考え方では当事者同士の合意によって成立するものであり、日本国憲法もこの考え方を取っています。もちろん、日本においても結婚には当事者の意思以外の様々なしがらみがないわけではありません。しかし、日本には一般的に結婚の障壁になるような宗教問題は存在しません。けれども世界には宗教が生活に深く関与している社会があります。宗教は戦争の原因にさえなり得るものです。国際結婚が増加している現在、日本人もこうしたことは念頭に置いておいていいでしょう。


▼映画の中の国際結婚 第1回

グリーン・カード
  • 製作1990年、アメリカ・フランス・オーストラリア
  • 監督ピーター・ウィアー
  • 出演ジェラール・ドパルデュー、アンディ・マクダウェル

公務員をやっている独身女性が、独身者入居不可という庭園付きアパートにどうしても住みたいと思い、夫がいることにするために偽装結婚の相手を探します。紹介されたのが、観光ビザでアメリカを訪れて永住権(グリーンカード)を欲しがっているフランス人男性で、お互いの思惑が一致し、二人は偽装結婚することになります。しかし、移民局から偽装結婚ではないかと疑われたために、心ならずも実際に同居生活を送る破目になってしまいます。最初はギクシャクした生活をしていましたが、一緒に暮らす中でお互いのいいところを知り、少しずつ好きになっていくというラブコメディーです。

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グリーンカード(外国人登録証)とは、アメリカ永住権の通称。かつて緑色をしていたことからそう呼ばれています。アメリカでビジネスや生活したいと思っている人たちにとっては、憧れの資格です。グリーンカードを取得すれば、アメリカへの出入国が自由になり、職業選択や滞在期間の制限もなくなります。市民権とは異なり、グリーンカードを取得しても国籍は日本なら日本のままで、選挙権や被選挙権はありません。取得後5年経過すれば、市民権を得る資格ができます。

この映画は、欲しいものを手に入れるために偽装結婚したカップルの結婚生活を、コミカルに、そして切なく描いた名作です。国際カップルの葛藤と交流を通して、アメリカ文化とフランス文化の違いとそれぞれの魅力も描かれています。

平成17(2005)年10月15日

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