NO.4(作成:2001年9月20日)

(1RR−第3試合) VS 台湾(#13〜#16)

2001/06/09 朝(10:00〜12:30)
(ホームテーブル) (ビジターテーブル)
平田 C.M.Lin
 Yen Ding Ming
(愛称:たほいや)
Lee Jung Fu 前田
HANA Allen Chao

(ホームテーブル) 
3D N3 +110
 W  N  E  S
 た  平  リ  花
    P 2D  X
2S 3D  P  P
 P 
 OL:
1:H2 H5 HA H7
2:H4 H8 D2 H9
3:CK C3 C2 C6
4:C5 C8 C10 CJ
日本:+5 IMP
#13
ディーラーN
ボスバル
A9
Q87
A10985
J76

74
AJ10643
643
102
KJ1083

72
KQ954

Q652
K95
KQJ
A83

(ビジターテーブル)
3N N/1 +100
 W  N  E  S
 林  L  前  C
   1D 1S 2S
 P 2N  P 3N
 P  P  P
 
  OL:5 
1:C5 CA C2 C6
2:DK D4 D5 D2
3:DQ D3 D8 D7
4:DJ D6 DA S8
5:D10 S3 S2 H3
6:D9 S10 S5 H4
7:H7 H2 HK HA
8:C10 C7 CQ
(ホームテーブル)
(オークション)
 回ってきたトレイを見ると、また台湾2だ。 個人的には、オポーネントのプリエンプティブオープンを捌くのは好きだ。 自分のハンドとオポーネントのビッドから、全体の相場を考えるのは楽しいもの。 とりあえず、Eの2Dオープンには、ダブルでハンドの強さを表現してみた。 EのハンドがHかSかわからない時点でのダブルだから、このダブルのパートナーからの見当は、バランスハンドの14点であろう。 もしSが、1453(きっとEは、5S&5C) 4144(きっとEはウィーク2H)とかなら、パスをしてオポーネントのスーツを明らかにしてからアクションを取る方がわかりやすい。
 Wのパスオアコレクトの2Sに対して、Nが3Dをビッドしてまわってきた。 選択は、パスか3N。 このシークエンスでは、Nの3Dはかなり建設的なビッドと解釈できる。 なぜなら、パスするのが一番弱いアクションで、ダブルはネガティブダブル(2344、3343、3334、7+点)になるだろうから。 2Nは? レーベンゾール2Nか? ナチュラル?? わたしは、ナチュラル2Nと見る。 理由は、このビッド展開を他のオークションに近似させると;
Sの1C/Dオープン、(WのSとマイナーのウィークジャンプオーバーコール)、そしてN、と見られるからだ。 ここでレーベンゾール2Nを使うことはない。
 良いD3枚あり、15HCPは悩ましかった。 現実に、この大会での一番の長考をしたかもしれない。 Nはパストハンド、Eのオープンはバルのセカンドハンド、EのSとCスーツの心配だけでなく、WにあるだろうHスーツの心配もしなければならない。 D5勝か、もしや6勝、あとのトリックはCAと、なに? パートナーの期待出来るDA以外の5点を考えると、それがどの5HCPでも、自分のハンドのスポットカードが弱いから、3(2)勝は大変そう。 それと、Wはパートナーのオープンから全体を見渡せる立場で、ベストリードを見つける可能性が高い。 などなど、考え合わせて、結論はパスを選んだ。 このパスは、勝負パスといった気持ちだった。 #11、#12の悪いムードをこの判断で変えよう、とも思った。

(プレイ)
 EからのHシングルトンリードで、Hラフが入ったが、Eには継続の良いディフェンスが現実には無い。 Cのルーザーは、将来、SQの下にディスカードされるので、Cアタックしかチャンスは無さそうだ。 だが、Cスモールが優ったかも。
 プレイ終了後、パートナーのハンドを見て、3Nのチャンスをざっと考えた。 微妙だが、わたしが取ったら、Cリードで簡単にダウンと思って、ノートに書き込む評価を、かわいい○(まあ良い)にした。 だが、後で考えてみると、Eがオープンしなければ、Sの1Nオープンとなり、Nは3Nレイズ、自然なHリードで楽勝の3Nだった、と言える。 実は喜んではいられない結果と見るのが妥当だろう。 まあいい。 試合中は、楽観して明るく評価するに越したことはない。

(ビジターテーブル)
(Eの前田の解説と感想)
 Nに軽くオープンされ、Eのハンドで1Sオーバーコールをすると、Nの3Nになった。
 Sは駄目と見て、セカンドスーツであるCのフォースベストをリードした。 もし、Sからスモールをプレイされていたら、NのCJが9個目となるところであった。 だが、ディクレアラーは、Eのハンドを、
E(KJxxx Ax x K1095x)、(Kxxxx Ax x Q1095x)と想定し、Cのブロックを狙って、CAをすぐアップするプレイを選択した。 だが、それは大はずれ。 助かった。
 Nに3Nのディクレアラーを取られると、EがCKをリードした場合、CAをホールドアップ、WがC10をアンブロック。 T2で、EがHをリードしても、WはHAであがれないので作られてしまうハンドだ。
(HANAの補足解説)
 想定のEのハンドの場合、C5に対してT1で、SからCローをプレイすると、WにCQ(K)に負け、Cリターンされ、Cエスタブリッシュできる。 ディクレアラーには特に粘る手段もなく、EにC4個、H1個負けてダウンが確定。 だが、T1でCAで上がると、Cスーツがブロックする(WがCQ(K)アンブロックしても役立たず)。 その間に、NからSのHKに向けてプレイすれば、コントラクトは作れる。
(トトロの感想)
 C5の選択は、Nの3Nをダウンさせられるベストリードではないですか! ナイスリード!

(ホームテーブル) 
5SXW5 −650
 W  N  E  S
 た  平  リ  花
       P  P
1N  X  P 2H
2S 3H 3S 4H
4S  P  P 5H
5S  X  P  P
 P
 OL:
1:HK H5 H2 S3
2:SJ S9 S4 S2
3:DA D3 D4 D5
4:DK D7 D6 DJ
5:DQ SA C4 D10
6:CA C6 C5 C9
7:C3 C10 C8 CJ
日本:−16IMP
#14
ディーラーE
ノンバル
A9
AK73
73
AQ732

KJ853
AQ2
K8
KJ9
Q10764
1095
64
1064


QJ8642
J1095
85

(ビジターテーブル)
5HXN5 −650
 W  N  E  S
 林  L  前  C
       P 2D
4D 4H 4S  P
 P 5H  P  P
 X  P  P  P
 OL:
1:      
2:      
3:      
4: 
(ホームテーブル)
(オークション)(注意書き:Wの赤いスーツのホールディングをよく見よう)
 ノンバル同士のディーラー。 Sのハンドは、ウィーク2、プリエンプティブ3Hオープンも候補である。 だが、平凡なパスを選択した。 理由は、「6−4形で、ウィーク2せず」。 かといって、プリエンプティブ3Hオープンするには、Hの内容が寂しい。
S(x KQJxxx xxxx xx)だったなら、3Hオープンしたかもしれない。
 Wの1Nオープンに、Nがペナルティダブルして回ってきた。 このSのハンドはディフェンス向きではない。 2Hテイクアウトし、6枚Hの弱いハンドを示した。 Wが2Sで競り合ってきて、Nが3Hレイズ。 Eも3Sで粘ってきた。 当然のように4Hで競り合ったら、Wが4Sをあっさりかぶせてきたのは意外であった。 さらさら流れてきた4Sに対してやや長考の末、5Hをかぶせることにした。 Wが、またまた5Sをかぶせたのは驚きであったが、Nがペナルティダブルを掛けたのは驚かなかった。

(プレイ)
 Nの自然なHKのオープニングリードを、Wがラフしたのは驚きであった。 1Nオープン??
 SJをNは見送り、Dの3回目をNがSAでラフ。 Sは、T1のH2(Hカモン、即ちCノンカモン)、D5→J→10フォローで、Cにアナーの無さそうなことを示したが、Nからは、CA、Cとプレイするしか、チャンスは無い結論である。

 プレイ終了後すぐに、Wのたほいやさんは、スクリーンの外から手をのばし、いぶかしがるNの平田に向かって挨拶した。 「すまんの、すまんの。 見間違えてたんや。」といった内容の表現と言葉であった。 きっとそうだったのだろう。 DAをHAと見間違えるのは、よくあること(らしい)。 ついでにお供をつけて、赤い5枚を仲良く3−2のHとDに見たのだろう。 ちなみに、同じスクリーンにいたHANAだが、たほいやさんのそんな事情を察知するほど、めざといプレイヤーではなかった。
 プレイ終了後のHANAは冷静で、「6Hサクリファイス(?)なら1ダウンですんだ」、と分析し、「だが実際の展開では、Nは当然ダブルよな」、と思い、「しかたなかった」と、軽く笑ってすませた。
 Wが平凡な1Sオープンだったなら、
       (パス)パス
(1S)ダブル(3S)4H
(4S)5H ・・・      という展開が予想されるが、Wはまた5Sをビッドするかどうか。。。

(ビジターテーブル)
(Wの林の解説と感想)
 Sの2Dは台湾2オープン。 Hのウィーク2か、Sとマイナーの5−5の弱いハンド。
 前田−林の2Dに対するディフェンスは:2Hはナチュラルオーバーコール。 その他はウィーク2Hオープン扱い。 ダブルはHに対するテイクアウト。
 Wの4Dはリーピング・マイケルズ(5S&5D)。 EのプレイするSコントラクトは、Cリードでノーチャンス。
 5Hが回ってきたWの林は、自分のハイカードを見て、5Hにダブルをかけた。
(トトロの感想)
 Eの視点からは、WのS&D2スーター、極めてHボイドがみえる。 お互いピュアな10枚以上フィット、2スーターフィットに近いと想像されるCの持ち方。 Wのダブルに対して、5Sテイクアウトの判断はあったかも。
 Wの視点からは、Hボイドが気になるだけで、4Dから5Hにダブルで、自分のハンドを十分紹介している、と見える。

(ホームテーブル) 
1S W2 −110
 W  N  E  S
 た  平  リ  花
          P
 P 1H  X  P
1S  P  P  P
 OL:
1:HK H8 H7 H3
2:SK S3 S6 S2
3:SQ S4 S5 SA
4:H10 HJ S7 HQ
5:DJ D3 D4 D7
6:DA D6 D5 D9
7:D2 DK DQ H2
8:C9 CJ CQ CA
日本:−7 IMP
#15
ディーラーS
NSバル
KQ
AKJ52
97
Q864

AJ2
109643
Q54
J10
743

AJ102
AK752

109865
Q7
K863
93

(ビジターテーブル)
3C E/4 −200
 W  N  E  S
 林  L  前  C
          P
 P 1H 2C  X
3C  P  P  P
 OL:
1:HQ H3 H5 H8
2:H7 H9 HJ C2
3:S3 S5 SJ SQ
4:HA C7 C9 H4
5:S10 SA SK S4
6:DQ D9 D2 DK
7:S9 S2 D7 S7
8:D3 D5 C4 D10
9:HK CA S8 H6
10:CK C3 C10 C6
11:DJ
(ホームテーブル)
(オークション)
 Nの1Hオープンに対するEのダブルに対して、Wは1Sレスポンスで捌いた。 HANAならば、1Nレスポンスを選択する。 109の5枚Hあるし、全体的な建設的バリューを紹介できるから。 結果は、1Nレスポンスより成功となった、3−3フィットの1Sなのだが、わたしには、この1Sレスポンスの秘密がまだわからないでいる。

(プレイ)
 平凡なHKリードから。 ダミイを見てSシフトをするも、EでHラフを1回されるのが厳しく、Nの残りのHが使えない展開となっては、2メイドやむなし。 オープニングからのSKでも、ディクレアラーがすぐに、DKのフィネスをする展開となるので、紛れはあるが、S2個、D3個、C2個取られて1Sは作られたであろう。

(ビジターテーブル)
(Eの前田の解説と感想)
 パートナーは、前のボードで失点をして、一息つきたかったようだ。 ダミイを開けてすぐに席を立った。 ダミイを見て唖然とした覚えがある。 しかし、プレーも疑問であった。 Hをラフした後、すぐにハンドからDを出しておけば、こんなにダウンはしなかっただろう。
(トトロの返事)
「Eのハンドで、テイクアウトダブルの選択はどうでしたか?」
「3Cのプレイは気にしなくていいような。 ただ、ちょっと時間を取ってプレイして、パートナーと自分の気分転換を図るのがいいようです。」

(ホームテーブル) 
6S W6 −1430
 W  N  E  S
 た  平  リ  花
1S  P 2C  P
2S  P 2N  P
3H  P 4C  P
4D  P 4N  P
5D  P 6C  P
6S  P  P  P
 OL:
1:H3 HA H5 H9
2:S9 S3 SQ S2
日本:−13IMP
#16
ディーラーW
EWバル
652
87643
54
Q87

AQJ1087
KJ9
KJ10

AQ10
A76
AKJ1094

K43
52
Q9832
653

(ビジターテーブル)
5C E6 +620
 W  N  E  S
 林  L  前  C
1S  P 2C  P
2S  P 2N  P
4S  P 4N  P
5C  P  P  P
 OL:
1:      
2:      
3:      
4: 
   
(ホームテーブル)
(オークション)
 Eの4NをWに尋ねた。 トランプフィットが明瞭でないので、Aの枚数を答える約束になっている、とのこと。 コンベンションカードを見ると、確かに;
「BLACKWOOD、RKCB(after direct fit)1430、・・・」と書かれてある。

(ビジターテーブル)
(Eの前田の解説と感想)
 このビッドで、Wのハンドを、弱くて長いSをイメージしてしまった。 それでも、SAKがあればスラムにいこうと思っていたが、1キーカードならば、Sに2ルーザーでそうで、安全なコントラクトを、と思って5Cをパスすることにした。 CQが無いとスラムは薄いかな、と思ったのだが。。。 2Cレスポンスに、Wが3Sジャンプしてくれていたら、スラムルーズすることはなかったと思っている。
(トトロの感想)
 微妙なフィットと余力が向かい合っているハンド。 実戦では、お互いパートナーのミニマムを気遣ってしまって、見かけ以上にスラムビッドは簡単とはいかない。 ホームテーブルでの、Eの2Nに対するWの3Hビッドが面白い工夫に見える。 単純に3S、4Sリビッドをしたくない彼の気持ちがよくわかる。
 後日、このハンドのオークションをWの林に尋ねると、彼自身は3Sにジャンプしたイメージがあったよう。 次には、3Sジャンプしてくれるでしょう。

 ところで、「以下のビッドでのオープナーのハンドのイメージは?」
というパートナーシップ問題は、お互いのスタイル、ジャンプに対する考え方を理解する上でためになる。
(1) 1S−2C−4S
(2) 1S−2C−3S
(3) 1S−2C−2S−2N−3S
(4) 1S−2C−2S−2N−4S

 HANAの典型的なハンドを書いてみると;
(1)(KQxxxxxx Kx Qx x)、(QJxxxxxx KQ Kx x)
(2)(AKQJxx Kxx Jxx x)、(AKJ10xx Kxx xx Kx)
(3)(AQxxxx Kxx Qx xx)、(Kxxxxxx Kx AJx x)
(4)(KQxxxxx Kx Qx xx)、(KJxxxxx KJx x Qx)

気持ち(1)パートナーがSボイドでも、多少余裕有るハンドでも、殆ど4Sしたいファーストアライバル。
   (2)ソリッド6+枚Sか、セミソリッド6+Sなら全体に余裕があるか、パートナーのCに役立つ助けあり。
   (3)6枚以上のSの確定紹介だが、しばしば、パートナーが3Nならパスを考えるハンドが多い。
   (4)セミソリッドに満たない、7枚Sが典型的。 全体的な余裕は無し。

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