伝統工法の組合せによる多自然型護岸工法の提案 |
ふとん籠と粗朶を組み合わせた護岸工法
粗朶の作る多孔質な隙間の多い空間にはさまざまな動植物がそこをすみかとして繁殖するようになり生物層が豊になっていきます。川底に沈めた粗朶は魚の産卵に適した環境を作り出します。また、河岸を覆った粗朶には虫が集まり、それを餌とする鳥たちも集まってきます。したがって粗朶柵工による護岸は非常に自然にやさしい工法といえるでしょう。しかし,この護岸工法は熟練工の技が必要となり近年その技術を持っている職人はほとんどいません。 |
富岡市浅香入川の粗朶ふとん籠 |
石には表面積につく生物膜の働きによる汚水浄化機能と自然石からある種のミネラルが溶出して浄化作用を果たすという説があります。礫を詰めて使用するふとん籠工は自重も十分にあり水の浄化と護岸の機能を兼ね備えた、安価で大きな機械も必要としない,すぐれた土木資材だといえるでしょう。 |
そこで両方の良い所取りをした工法はないものかと考えてみました。その工法とはふとん籠に石詰の空間と粗朶詰の空間をつくり,前面には粗朶を詰め後方には石を詰めるというものです。この工法であれば熟練した粗朶柵職人でなくても簡単に施工ができます。 |
また、普通であれば捨ててしまうか、焼却処分にしてきた間伐材の枝やきのこ栽培に用いる
ほだ木
の枝などを粗朶として使用することで有効にリサイクルでき、かつ、山間部の高齢者の収入源にもなりえます。 |
環境問題だけでなくこうした観点からも
粗朶を使う
粗朶ふとん籠工
を多自然型護岸やビオトープに使用することをご提案いたします。 |
設 計 例
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